奇跡の脳

  • 新潮社 (2009年2月1日発売)
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大変な状況の人に対して、「ものすごく心配なのよ」という態度は、負のエネルギーを発散するので相手はより辛くなる。まゆを優しく上げて心を開き、愛をもたらす事。


自分の体験をどう捉えるかは自分で決められる。刺激と反応の間に距離を保つ事。

周囲から「まとも」だと判断される為に右脳の意識が多くの犠牲を払っている。現代の神経学者達は右脳と左脳の非対称性を神経学の面からのみ説明するだけで、左右の脳の構造に含まれる心理学的、人格的な違いについて語らない。

右脳の意識の中核には心の奥深くにある静かで豊かな感覚と直接結びつく性質が存在している。右脳は世界に対して、平和、愛、歓び、そして同情をけなげに表現し続けている。


音楽を聴いた時、その意味を考えるのが「思考型」、好き嫌いを決めるのが「感情型」、インスピレーションを得るのが「直感型」、ありのままの音に浸るのが「感覚型」、思考型と感情型は判断を下すので左脳的であり、直感型と感覚型は右脳的。


右脳の個性の最も基本的な特色は、深い内なる安らぎと愛のこもった共感。内なる安らぎと共感の回路を動かせば動かすほど、より多くの平和と共感が世界に発信され、地球上に広がる。


意識とは、機能している細胞による集合的な意識に他ならない。

右脳は現在の瞬間の豊かさしか気にしない。人生と自分に関わる全ての人達、そしてあらゆる事への感謝の気持ちでいっぱい。良い、悪い、正しい、間違いといった判断をしない。


右脳は長い波長の光を知覚するので、右脳マインドの視覚的な知覚はやや溶けて柔らかい感じ。事物がどんなふうに関係しているかという、より大きな絵(心の像)に集中できる。また、低周波の音に同調するが、これは私たちの体や自然の中に普通に発生する音の為、右脳マインドは生理機能にすぐ耳を傾けるよう、生物学的に設計されている。

左脳は短い波長の光を知覚するので、明確に線を引いてはっきりした境界をつくる能力を高める。結果、左脳マインドは生物学的に隣り合った物体のあいだを分かつ線を認識する能力が高い。同時に、左脳の言語中枢は高い音に耳を傾けるが、通常は話し言葉が高い音である事が多い為、言葉を抽出し、識別し、解釈する事ができる。左脳の最も顕著な特徴は、物語を作り上げる能力にある。最小限の情報に基づいて、外の世界を理解するように設計されている。印象的なのは、実際のデータに空白があると、それを埋めてしまう能力がある事。


残念な事に、社会は人に「心の庭を注意深く手入れする」必要性を教えない。


「反応能力」とは、感覚系を通じて入ったあらゆる刺激に対してどう反応するかを選ぶ能力。確かに、自動的に引き起こされる(感情を司る)大脳辺縁系のプログラムが存在するが、このプログラムの一つが誘発されて化学物質が体内に満ちわたり、血流からその物質が消えるまでの全ては90秒以内に終わる。つまり、それ以降は自分で反応を選択する事ができる。

たとえ不愉快な出来事でも、右脳領域に踏み込んで共感を持ってあたれば、人生の価値ある教訓として受け止める事ができる。

自分の心を変えたい時は、
1. 魅惑的でもっと深く考えを巡らせたい事を思い出す。
2. ものすごく楽しい事を考える。
3. 何かやりたい事を考える。

疲れていたり、精神的に参っている時を狙って、否定的な思考回路が動き始める。しかし、脳が言っている事に注意し、その考えがからだにどのような感覚をもたらすかに気づけば、自分が本当は何を考えたり感じたりしたいのかを意のままに選べるようになる。


苦痛は体のどこかに外傷がある事を細胞が脳に伝える手段。細胞は脳の注意を引くために苦痛の受容器を刺激する。ひとたび脳が苦痛の存在を知ると、目的は達成され、痛みは軽減したり消える。


西洋社会は左脳の「する(doing)」機能を右脳の「ある(being)」機能よりずっと高く評価し、報酬を与えるので右脳マインドの意識に近づくのが難しい。


内なる安らぎを経験する為には、自分がより大きな構造の一部である事を思い出すこと。決して自分と切り離すことのできないエネルギーと分子の永遠の流れの一部である事を思い出すこと。自分を包み込む全体と一心同体なのだから、自分が脆いなんて感じるはずがない。

左脳マインドは、私をいずれ死に至る一人の脆弱な人間だと見ている。右脳マインドは、私の存在の真髄は永遠だと実感している。いずれ私は自分をつくっている細胞を失い、三次元の世界を知覚する能力を失うが、このエネルギーはただ幸せに満ちた穏やかな海に還るだけ。この事に気付き、ここにいる間はずっと感謝し続けると同時に、命をつくってくれる細胞達が満足した状態にあるよう熱意を持って努力する事。

認知的な思考に繋ぎ留められ、精神的なループを働かせている間は、現在の瞬間にはいない。すでに起きた事、あるいはまだ起きていないことを考えている。体は今ここにしかないのに、心はどこか他のところにある。今この瞬間を生きる為に、今起きていることから目をそらすような認知ループから意識を切り離すこと。例えば今の呼吸を意識する。


気分を一転させるには、嗅覚を刺激するのが一番早い。


経験を再構築する一番の方法は、背後にある生理的な感触を思い出すこと。


右脳マインドは因果関係が引き起こす現象を全面的に賞賛する。全てが全てに影響を及ぼすエネルギーの世界で、右脳マインドの洞察力は無視できない。

あなたと私はどこにいてもエネルギーレベルでは密接につながっている。もし私があなたを思いやり、好ましい雰囲気を伝え、あなたを精神的な光で包み、あなたの為に祈れば、私は意識的に癒すエネルギーを送っている事になる。いかに右脳が機能しているかという事実に、左脳や科学が未だに追いついていない。しかし、右脳マインドが直感的にエネルギーの動きを感じ、取り入れている事はほぼ確かである。


夜眠れない時は、意識しつつも自然と顎を緩める。筋肉の状態に気を配る事は、心を現在の状態に戻すのに大きく役立つ。システマチックに筋肉を圧迫したり緩めたりすれば、「今、ここに」戻る事ができる。


謙虚な気持ちで平和に恵まれた状態に帰る最も簡単な方法は「感謝する」事。感謝の気持ちを抱くだけで人生は素晴らしいものになる。


西洋文明は愛すべき平和な右脳の特性が存続するにはとても挑戦的な環境である。


社会の精神的健康は、その社会を創り上げている脳の精神的健康によって決まる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 分子生物
感想投稿日 : 2015年2月18日
読了日 : 2015年2月18日
本棚登録日 : 2014年10月24日

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