塵クジラの海 (ハヤカワ文庫 FT ス 6-1)

  • 早川書房 (2004年1月1日発売)
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本棚登録 : 60
感想 : 6
3

巨大なクレーターに分子レベルの塵の海がある水無星。
そこに棲む塵クジラからは麻薬が採取されるのだが、突然その取引が禁止される。
そのため、ジョン・ニューハウスはコックとして捕鯨船に乗り込み、航海に出る。
乗組員の中に、見張りとして雇われているコウモリのような翼の生えた女性、ダルーサと出会う。
彼女と激しく恋に落ちるが、ダルーサは人間に触れられるとひどいアレルギーが出て、火傷を負ったようになってしまうのだ。
触れ合うこともできない二人。
一方、船長は塵の海の生態系に異常なほどの執念を持っていて……

スターリングの長篇デビュー作。

ダルーサとのストイックでありつつ、SMチックな恋愛。
肺を破ってしまう塵のためのマスクや手袋だけど、
むしろこれは二人のためのボンテージファッションと考えるべきなのかな?

それよりも、塵の海の生物がたまらない。
非常に私的な感想から言うと、砂の海ってヴィジョンが大好きなんだよねぇ。
それだけでもう(笑)
デビュー作だからなのか、描写にまどろっこしいところもあるけど、
水無星の生活や船の様子が、ヲタク的偏執さで書き込まれている。
個人的には、水が全くないってのをもっと書いて欲しかったかな。
結局、塵の海の正体とかよくわからないけど、これはソラリスってこと?

今のスターリングとは、なんかあまり結びつかない内容だけど、
結構面白かった。
ただ、これをハヤカワFTから出すのって、無理ない?

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2005年1月6日
本棚登録日 : 2005年1月6日

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