息が詰まるような島で、それでも希望を失わずに生きていくーー……
という明るいストーリーで終わらず、最後までちゃんと小川洋子していて良かったです。
解説を読んでこの閉塞感への既視感がとこからのものかが分かってスッキリしました。
予想外の設定が予想外の方向に転がっていく、これぞまさしく小川洋子…!毎度ながらどうやって思いつくんだろう。すごいな…!
p.45
机の上で指を組み、その指によって形作られた半円の空間に、声を閉じ込めるような調子で教授は言った。
p.190
彼は唇をふさいでいた指を頬にはわせ、あごに滑らせ、そのまま真っすぐ喉に下ろしました。そして喉のくぼみの一つ一つを時間をかけて撫でました。まるで声が本当に失われたかどうか、確かめているかのようでした。
わたしは思い切り大きな声で叫びたい気持でした。彼を振り払い、ここから逃げ出したい気持でした。でも実際は、ただじっと身体を固くしているだけでした。彼の指の感触が針金のようにわたしをぐるぐる巻きにしていたからです。
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- 感想投稿日 : 2023年6月30日
- 読了日 : 2023年7月15日
- 本棚登録日 : 2023年5月5日
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