密やかな結晶 (講談社文庫)

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著者 : 小川洋子
  • 講談社 (1999年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062645690

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密やかな結晶 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 大人のための暗い童話。妖美的で、抽象的で、絶望的で、静謐的な喪失物語。

  • 初めて読んだのが冬の終わりの昼下がり。
    一人暮らしの部屋で、コタツに潜り込んで。

    夢中で読み進めて、ラスト近くにふと顔を上げたら、窓の外は真っ白。
    いつの間にか雪が降り積もり、あたり一面が白い世界。

    しばらく小説の中にいるような不思議な気分に。
    本を開く度に、その時の気分が蘇ってくる1冊です。

  • 読めば読むほど切なくて、読みおわるとぽかんとする話
    流れに逆らうこと、逆らわないこと、どっちが幸せなんだろうかとか考えながら読みました

  • 限りない消失の物語。最後には全て失うことをわかっていながらも、生きる希望(のようなもの)や、それを受け容れる心を持った主人公の感情の動きが描かれていて、哀しくも、そこから何かを学びとれるんじゃないか、と感じてしまうような希望を抱いてしまった。

  • (2008より転載)
    【再読】大好きな作品のひとつです。ドキドキするし、とても切ない。大事なものが"消滅"してもそれを受け入れてしまう。うーん、どうかな。
    2008/10/3読了

  • 江戸川乱歩の妖しさを思い出してしまいました。
    途中、
    タイプライターの小説の方がもしや現実なのかもしれない
    と推測してしまいました。


    違いました。

  • 小川洋子お得意の”失う話”。
    偏執的倒錯的な匂い。
    とても美しくて悲しくて壮大な物語。
    物語が終わってしまうことが悲しくて
    読み進めたくなくなるくらいのめり込んだ。

    「R」というイニシャルは何を表すだろう。

  • どんどんものの概念がなくなっていく島の話。
    タイプライターの先生との話は「薬指の標本」かといつも思っちゃうんだけど、この「ひそやかな結晶」の中の劇中劇というか、この話の主人公が書いてるお話だった。
    小川さんは大好きだけど、不思議すぎたり、ついていけないのも多いけど、この話は好き。
    でも、薔薇が世界から消えるなんて信じられない!
    というより、もっともっと信じられないものが消えていくんだけど・・・。

  • 静かで、美しく、そして苦しい気持ちになる作品。
    一つ一つの物や記憶を大切にしていきたいと思えた。

  • 固有名詞の少ない島で、名前を与えられない登場人物たちがひっそりと暮らしている。一つ一つ静かに失われていく記憶。思い出せないことは存在しないことと同じなのか。全てを忘れてしまったとき、人間はどうなってしまうのか。そんな、空洞を受け入れた人々の物語。

  • 忘れられないことは苦しいことだと思った。声だけになった彼女と声だけを喪った彼女

  • 今までで一番多く読み返した本。
    何に惹かれるのか自分でも分からないまま何度も読んでしまう。

  • 小川洋子版「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」だ。村上春樹はThe Oneを主人公にしているが、小川洋子はThe Otherを主人公にしているだけの違いかもしれない。と思えば非常に面白い。

  • 小川洋子さんらしい一冊。主人公の書く、タイプライターのお話の続きが読めて良かった。

  • なにかが生まれることよりも、なにかが消えていくことのほうが進んでいる世界。読んでいても常に虚無感が漂っていて、これほど漠然とした悲しい気持ちになりながら読むのもなかなかに辛い。

  • いろいろなものが消滅していく島。

  • ある島で、記憶狩りによって、住む人々の記憶がひとつずつ消滅していきます。
    手紙、エメラルド、鈴、フェリー、鳥 etc.

    狩りの対象となるモノが消え、それにまつわる記憶が失われます。やがて名前も思い出せなくなります。
    そのモノに対して抱いていた感情が消滅してしまうのです。

    小川洋子の作品は、こんな特殊な設定が魅力です。

    こういう特殊な物語では、私たちが持ついろいろな感情や考えのうち、その一部が際立ってきます。

    大切なものを、思いを、記憶を、心にとどめておくのは、意識していないとできないこともあるかもしれません。
    逆に、失ったものには、思いのほか早く慣れてしまうかも。

    あまりに多く新らたに登場するものにばかり目が奪われると、消滅しそうなもの、消滅したものがあっても気づきません。
    うっかりしていると、記憶狩りに遭っているのも知らずに。

  • 忘れる事と、消滅と、どっちがいいんだろう。
    どっちがいいなんて、ないのかもしれないけれど。

    大切な記憶が、ある日突然に奪われてしまうのは悲しい。
    だけど、少しずつ失われて行く事で生まれる、ふとした瞬間の
    『懐かしさ』という感情の暖かさは何だろう。

    物のひとつひとつに宿った記憶は、その物以上に意味をもって
    いつまでも残るものだと思う。

    大切な筈なのに、移ろい易く、失くし易いもの。
    不確かで、秘められた強い光を持つもの。

    これから先、長く生きて、何かを落としていってしまうかも。

    だけど、ある日、確かにあったもの。
    なくしても何かに触れて
    ふとした瞬間に拾い上げる事ができるといいな。


    懐かしい
    冷たさと、湿度と、閉塞感。
    そこに感じる安堵感。
    その記憶を掬い上げた。

  • 淡々と消滅していく世界。
    消えてしまったものたちには、もうなにも思うことが許されない。
    それを無情に見つめるだけで、悲しむことすらも出来ないことが、ただ悲しかった。

    世界観が独特で最初は戸惑ったけど、彼女の書く小説と最期の結末が奇妙にリンクしていく感じが綺麗でした。
    抑圧されることに反発して自分を保とうとするよりも、支配されることに安心を覚えて従順に成り下がっていく方がずっと楽だから。

  • 「記憶狩り」によって世界から一つずつモノが消えてゆく、という設定で、なんかハルキの『ハードボイルドワンダーランド』だなぁ、文体も風景が無国籍な感じも似てるし、とか思っていると、P357くらいから、あるモノが消え出して、その後とんでもない展開になる。最後は、加害者と被害者が反転するような感じで、「私の記憶を奪っていたのは実はあの・・・」と結構おそろしいことを暗示している。何も失わないで生きるというのは、それだけで一つの暴力のかたちなのかもしれない。おそるべし小川洋子。

  • 島からあらゆるものが次々と失われていく物語。

    その消滅を受け入れることで、消滅が起きたことから目を逸らし、その時はどうにかなるが、結局は島の破滅に繋がっていく。
    そして消滅を受け入れなかった者だけが、自由になることができる。

    何か、現実の世界と繋がるメッセージのようにも思える。

    西洋絵画では、画中画に意味が込められているというが、この作品には小説中小説がある。その小説もまた、消滅をキーとした物語で、2つの消滅の行方が気になる。

    味わい深い小説。

  • 何度も何度も繰り返し読みました。
    誰が何と言おうと、小川洋子の最高傑作の一つだと確信しています。
    ありとあらゆるものが記憶から失われ、最後に残ったものに、涙します。
    バラが失われた場面の描写は圧巻。ここだけでも映像化をしてもらいたいけど、実際に映像化されたら、自分の想像と違っていて切なくなるかも。

  • 記憶狩りによって消滅が静かに進む島の生活。忘れていく人々と一部の忘れることができない人のお話。
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    とても不思議な話。非現実な事象がすぐそこにあるように書ける小川さんはすごい。”消滅”を繰り返し、その”消滅”をできない人には警察に消されてしまう。全体にひっそりとした緊張感の漂い、避けられない喪失感にせつなくなる。ラストはそこまで消えてしまうの?と胸が痛くなった。

    小川洋子さんは「博士の愛した数式」が有名だけれど、私はこれが小川さんの作品のなかで最高傑作だと思う。
    女の人に読んでもらいたいお話。女の人ならきっとわかる気持ちがつまってる。

  • 記憶と喪失について。理想とする世界。

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密やかな結晶 (講談社文庫)の作品紹介

記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。何かをなくした小説ばかり書いているわたしも、言葉を、自分自身を確実に失っていった。有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、現代の消滅、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。

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