脳内ポイズンベリー スタンダード・エディション(DVD1枚組)

監督 : 佐藤祐市 
出演 : 真木よう子  西島秀俊  古川雄輝  成河  吉田羊  桜田ひより  神木隆之介  浅野和之 
  • 東宝
3.39
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感想 : 90
3

2015年 日本 121分
監督:佐藤祐市
原作:水城せとな『脳内ポイズンベリー』
出演:真木よう子/西島秀俊/神木隆之介/吉田羊/古川雄輝/成河/ともさかりえ

30歳の誕生日を目前にした櫻井いちこ(真木よう子)は、出版社で働く友人の礼子(野波麻帆)の伝手で携帯小説を書いている。ある日礼子に誘われて参加した会食で年下フリーターの早乙女(古川雄輝)と出会い好意を抱く。その早乙女と駅のホームで偶然再会、途端にいちこの脳内では会議が繰り広げられる。彼女の脳内会議メンバーは、冷静な理性=議長の吉田(西島秀俊)、書記=記憶の岸(浅野和之)、ネガティブな池田(吉田羊)、ポジティブな石橋(神木隆之介)、そして純粋で直観的なハトコ(桜田ひより)の5人。ことあるごとに、いちこの脳内ではこの5人が言い争いをしており…。

原作は既読。キャスティングについてはひとまず置いといて、一人の人間の中にあるさまざまな要素を脳内会議として表現した原作の面白さを、映画はうまく汲み取って表現してあったと思う。たぶん原作知らずにこれだけ観たら、それなりに良くできた作品になっていたんじゃなかろうか。脳内会議メンバーはキャスティングもピッタリ。楽天的な神木くんと、ピュアピュアなハトコはとくに可愛い。そしてアラサー女の悲観的観測を体現している池田=吉田羊もはまり役だった。

ただね、原作読者としては、脳内会議メンバーのキャスティングに力入れすぎて、現実の恋愛相手のほうがちょっと手抜きに思えてしまった。早乙女役の古川雄輝は好きなのだけど、早乙女ではないのだよなあ。彼の無機質で透明な感じは生々しいイマドキ男子感のある早乙女には合わない。ただただ何を考えているかわからないのみ。ベタだけど、菅田くんか成田凌あたりが良かったなー。

そして越智さん役の俳優さんは舞台中心に活躍されてる人みたいで上手かったのだけど、全然ときめかない…。越智さん自体は、いちこにとってめちゃめちゃ良い人なのに全然ときめかないという設定なので、ある意味正解なのかもしれないけど、いちこがときめかなくても読者には越智さんファンは多いのよ。早乙女に対する本能的なスキー!という気持ちと、理性なら越智さん選ぶよなーという部分とは別に、読者(観客)に越智さんにしときなよ!って思わせる最低限の魅力は欲しかった。見ながら何度か、西島秀俊と役チェンジして!って思った(苦笑)じゃなきゃ高橋一生あたり連れてきて!

あとそもそも主演の真木よう子自体が、原作のいちことは全然別人なのだけど、まあ映画しか観なければこれはこれでアリだったと思う。どっちかというと石原さとみあたりにやってほしい役だったけど。

ストーリーはほぼ原作に添っていたし、最終的な落としどころも原作通りで、そこもメッセージとして良かったと思う。誰を好きかじゃなくて、誰といるときの自分が好きか。平野啓一郎の分人論じゃないけど、まあいちこの出した結論はそういうことですよね。見ていてずっと退屈せず楽しかったので少女マンガ実写化としてはかなり上出来だったと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  邦画
感想投稿日 : 2021年4月10日
読了日 : 2021年4月9日
本棚登録日 : 2021年4月10日

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