バクマン。DVD 通常版

監督 : 大根仁 
出演 : 佐藤健  神木隆之介  染谷将太  小松菜奈  桐谷健太  新井浩文  皆川猿時  宮藤官九郎  山田孝之  リリー・フランキー 
  • 東宝
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感想 : 152
3

2015年 日本 119分
監督:大根仁
原作:大場つぐみ・小畑健『バクマン』
音楽:サカナクション
主演:佐藤健/神木隆之介/小松菜奈/染谷将太/桐谷健太/新井浩文/宮藤官九郎/山田孝之/リリー・フランキー

プロのマンガ家・川口たろう(宮藤官九郎)を叔父に持つ真城最高(佐藤健)は、幼い頃からマンガが好きだった。しかし連載打ち切り後の心労の中で叔父は過労死、サイコーはとくにマンガ家をめざすこともなく平凡な高校生活を送っている。ある日、サイコーの絵を偶然見た高木秋人(神木隆之介)から、二人で組んでマンガ家を目指そうと誘われる。最初は断るサイコーだったが、ずっと恋心を抱いていた亜豆美保(小松菜奈)が声優を目指していることを知り、自分の描いたマンガがいつかアニメ化されたらヒロインの声を亜豆が演じるという約束をしたことで、夢に向かってマンガを描き始め…。

原作は少年ジャンプ連載時に既読。少年ジャンプという王道のマンガ雑誌で、あえて漫画家や編集者、出版業界の裏側をネタにしてきたことにまず驚いた。『デスノート』同様、原作:大場つぐみの緻密なストーリー構成と、小畑健の画力があって初めて成立させられる企画だったと思う。マンガの段階でも、よくぞこれをマンガにしたと思ったものだけど、さらにあれを映像化、そもそもマンガを描くという地味な作業を、どう映像でエンタメに消化するのかと心配していたのだけど、そこはかなり工夫されて素晴らしい仕上がりになっていた。CGやプロジェクションマッピングを駆使して、部屋の壁一面がマンガになったり、シュージンの眼鏡にマンガのコマが映ったりするのは好きだった。ただ、巨大なペンを剣にしてエイジと戦うくだりはちょっとやりすぎだった気がしたけど。

映画化が決まった頃、最初にメインキャストを聞いたときは、シュージンとサイコー、逆の配役のほうが良いんじゃ?と思ったけど、いざ見てみたらそれほど違和感なかったので良かった。でも逆で見てみたかった誘惑はちょっとある。神木くんのシュージンが、ちょっと物足りなかったんですよね、演技力じゃなくて、設定が削られてたせいでシュージンのキャラが希薄になっていたので。

原作を知ってるとどうしてもキャスティングのあれこれが気になってしまうので、とりあえず個人の見解を言ってしまうけれど、小松菜奈のアズキはないわー。小松菜奈ちゃん自体は可愛くて大好きなのだけど、もう単純にビジュアルが違いすぎる。なんていうか、彼女だけ違う漫画家の絵になってる(苦笑)派手な小悪魔顔が彼女の魅力なので、ふてくされたファム・ファタル系の役はすごくはまるのだけど、アズキちゃんはねえ、なんかもっと地味めの可愛さなんだよね。アズキとサイコーの恋愛ってちょっとありえない設定の男子のドリームなので、その夢を見させてくれるもっと清楚な子が良かった。

染谷将太の新妻エイジは基本的には良かったけど、エイジって、ぶっとんでるけど実は結構良い子だから、終盤のあのエピソードはちょっと違うんじゃないかと思った。まあそれ言ったら最後のクライマックスのエピソード自体が、ちょっと無理がありすぎなので、あの展開はちょっと微妙。

原作ではたぶん10年くらいの歳月(作中の)をかけて彼らの成功を描いていってたと思うので、それを2時間の枠で、いったんキリのよいところまででオチをつけて終わらせるために、いろんなキャラやエピソードを省かなくてはならなかったのは仕方ないとわかってはいても、家族を全く出さないのは不自然だし(とくにサイコー入院場面)、序盤とても面白かっただけに後半ダレてしまったのは勿体ない。そしてアズキのあの去り方はない…。

…と、どうしても原作ものは文句を連ねてしまいますが、単純に映画だけ観たらそれほど悪くない仕上がりだったと思う。とくにエンドロールの凝りようが素晴らしいし、そこにサカナクションの「新宝島」が流れたらそれだけで泣ける。ジャンプ漫画の実写化の中では十分及第点。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  邦画
感想投稿日 : 2020年8月3日
読了日 : 2020年8月3日
本棚登録日 : 2020年8月3日

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