青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2004年7月15日発売)
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本棚登録 : 1154
感想 : 135
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本作にはクリスティー作品でおなじみのポアロが登場します。
物語は非常に高価なルビーを持った令嬢の殺害事件で幕を開けます。序盤から怪しい人物が目白押しで、登場人物それぞれの視点の切り替えが頻繁に起こるので、私は最初、人間関係の把握にとまどいました。しかし、読み進めるうちにキャラクターの人となりが分かってくると、一気にのめりこむことに。というのも、舞台となる豪華列車、W不倫の果てに離婚の泥沼、高価な宝石など、今作はストーリーを盛り上げる舞台装置がひとつひとつ際立っているから。

さらに、ガジェットだけでなく、登場人物たちを結びつけるような面白いネタも満載です。例えば主要人物の一人キャサリン・グレイ。表面的な役割で終わるかと思いきや、ストーリーの根底に彼女の恋愛の自立が描かれていたりもします。事件をめぐる登場人物たちの群像劇としても楽しめ、どのキャラクターも一本筋の通った役割が用意されているのは圧巻でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
感想投稿日 : 2020年12月30日
読了日 : 2020年12月1日
本棚登録日 : 2020年12月1日

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