青のフェルマータ Fermata in Blue (集英社文庫)

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  • 集英社 (2000年1月20日発売)
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両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝ってクラス彼女の島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて──。

人は、誰もが自分の中に「痛み」を抱えているが、イルカたちとの触れ合いを通して、自分を見つめ直しながら一歩を踏み出していく様子が、とても感動的だった。海や波に関する描写は、実際に目の前で展開されているかと錯覚するほど幻想的だった。
ただ、物語の中で、ゲイリーにもう少し救いを与えてあげてもよかったのではないかと思う。彼もまた、とても哀しいものを背負った人間なのだから。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2011年3月23日
本棚登録日 : 2011年3月23日

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