あらゆる領収書を経費で落とす! - 「金持ち社長」に学ぶ禁断の蓄財術 (中公新書ラクレ 512)

著者 :
  • 中央公論新社 (2014年12月9日発売)
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「金持ち」「禁断」「蓄財術」というキーワードに魅せられて手に取ってしまった本です。この本を書かれたのが、元国税庁の役人さんで、今までに何冊も類書を読んできているという事実も、読もうと思った理由でもあります。

金持ちの定義として、自分で出入りするお金をコントロールできる人としていて、主に中小企業や小規模企業で、株主や銀行に気を遣う必要のない人としているようです。

確かに、本の中にはお金持ちが具体的にどのようにして、脱税をするのではなく、合法に節税をしているのかが書かれています。個人事業主としてではなく、株式会社化する、会社から給料をもらう、会社の会議費・福利厚生費・経費として利用する方法が書かれています。

しかし本の最後で書かれているように、この仕組みを上手に利用できる人は、自分で事業を起こして売り上げがある程度(私が理解したところでは1000万円以上)ないと難しいようですね。要するに、会社に縛られることなく、新しい事業を起こす、もしくは今の仕事を責任をもって最後までやりきることを条件として、会社との勤務契約を見直してみる、ということが期待されているようです。

残り少なってきた会社員生活、今後どのような心構えで過ごすべきか、考える良い機会を与えてくれた本でした。

以下は気になったポイントです。

・接待交際費の適用範囲は広い、中小企業の場合は年間800万円まで使用可能、一億円以上資本金のある企業ではダメ(p20、53)

・中小企業の社長は、その会社の年商分のお金すら自由に動かせるが、大企業の役員は自分の報酬分しか自由に使えない、自分で会社を経営することの意味がそこにある(p24)

・中小企業の経営者は会社からもらう報酬自体はけして高くない、ということは税金は安く済んでいる(p25)

・社会保険料は会社との折半となっているが、会社が全額人件費として払うわけなので、結局はサラリーマンからの取り分から引かれている、これを考慮すると賃金の40%以上も、税金・社会保険料でとられていることになる(p27)

・現在は資本金の制約はなくなったので、30万円程度の費用があればだれでも会社が作れる(p32)

・会社にすれば、家族を従業員にして収入を分散できるので、税金や社会保険料を安く抑えることが可能、福利厚生費も使える(p34)

・会社の経費は、事業に間接的に関連していてもよい(p45)

・会社がパソコンを買って社員に貸与すれば、自由に使えることができるが税務調査の時には会社に持ってこれる状態にすべき(p57)

・生命保険は受取人が会社、就業規則で会社から保険金相当の弔慰金を払うことにしておけば良い(p64)

・経営者と株主が同じ場合には、経営者は株主の機嫌を取る必要がない、会社の利益・配当にこだわらなくてよい、機嫌を取る必要があるのは、上場企業・銀行から借り入れのある企業(p66、72)

・従業員が15%程度の家賃を払っていれば、会社が肩代わりする分は福利厚生費として損金計上できる(p52)

・社長一人が住む場合も、会社が借り上げる形にして、社長は家賃の3割程度(99平米以内)を会社に払えばよい(p84)

・税務署が追徴税を課したりできるのは、当局側が誤りを見つけたときだけ、納税者は申告の潔白を証明する義務はなく、税務署がその証拠を出さなければならない(p119)

・4年落ちの中古車は耐用年数が2年、つまり2年で購入代金を経費にできる(p148)

・会社登記は司法書士に頼めば、数万円でやってもらえる、以前と異なり資本金も従業員も不要(p177)

・独立して業務提携することに向いているサラリーマンは、1)上司の指示を受けずに業務を引き受けられる、2)細かい経理作業もできる、3)収入が1000万以上(p180)

2017年4月30日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 資産運用・保全
感想投稿日 : 2017年4月22日
読了日 : 2017年4月30日
本棚登録日 : 2017年4月18日

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