本質を見抜く「考え方」

著者 :
  • サンマーク出版 (2007年11月1日発売)
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感想 : 62
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仕事をしていて難問に直面したときに大切なのは、その問題の本質は何かを素早く把握することです。これができてしまば、解決できる問題なのか、だめと思われる場合にはどんな対策をとるべきかが自ずと分かってきます。

しかし実際に難しいのは、本質を見抜く技術だと思います。この本では、そのための技術を大きく6つの観点から解説しています。本に書かれている技術は私の経験ではそのまま適用しても効果が少ないと思っていますが、そのエキスを理解して(本質を理解して)自分のアレンジを加えて今後の社会人生活に活用していきたいと思いました。

特に印象に残ったのは、ユダヤの法則にある「全員一致の決定は無効」(p184)というものでした。

以下はためになったポイントです。

・自虐的にしか自分を見れないのは、自分を映す鏡(歴史観)が歪んでいるからである(p21)

・日本人がまずやらなければならないのは、全ての考え方に安易な「人間愛」をの世界を持ち込まないようにし、1つのテーマに最低3つの仮説を立てること(p34)

・難しいことを難しく言うのは簡単だが、難しいことを易しく言うには、相当深くそのことを知らなければできない(p41)

・3つの仮説を考えるポイントとしては、「作用反作用=動あれば反動あり」、「慣性=動き出したら止まらない」、「鹿威し=突然バランスを失って局面の大転回がおきる」である(p53)

・3という数は、印象に残りやすく脳を落ち着かせる作用がある、「正反合」という考え方は、ある命題に対してまず肯定し、その否定を媒介として、より高いものに思考を発展させるもの(p55)

・人生で迷ったときの決断するポイントとして、「自分がおもしろいと感じるほうを選ぶ」、理屈や条件をもとに「おもしろい」と推測されるものを選ぶ(p81)

・日本においてバランスが崩れている現象として、「物と心のバランス」、「進歩と伝統のバランス」「個人と共同体のバランス」がある(p100)

・世界には「論理」を優先する民族と、「感性」で行動する民族がいる、歴史的には論理思考をするゲルマン民族(北ヨーロッパ)のほうが、発展や効率という面で優位に立っている、一方で日本人は、感覚が鋭敏で反射や直感で行動を選べるが、時にはとんでもない間違いを犯す危険性がある(p107)

・正しいこと(真理)と、効率的なこと(論理)の両者がそろわないと世界は成立しない(p113)

・海外の圧倒的に多くの水は硬水だが、日本の軟水はカルシウム含有量が少ない、そのため日本人は「せっかち」で、縄文時代から1万年以上、木の実を食べてきた民族であり海外の国々とは違う(p119)

・日本独特の風土(非常に温暖、自然の宝庫、水が豊富)は、日本に独自の文明を築かせた、風土は文明をつくり、文明は人間の考え方や心のパターンを決定づける(p129)

・ヨーロッパは、ノルマン人によるイングランド支配のように、外からやってきた民族が現住民族を征服し、社会の上層部を占めたという千年の歴史があり、人種的にも遺伝的にも一般大衆とは異なる、一方日本は遺伝子がお互いに混ざり合っていて階層ができない(p154)

・日本では2、3世議員が多いというが、欧州では10代続く国会議員がざらにいる(p155)

・ブッシュ政権は「日本占領の成功」が大きなヒントだと言っていたのに、その時とは異なって、旧フセイン政権の警官・公務員をすべて失業させた(p164)

・あまり見事な「反論の余地のない議論」は、「先に結論ありき」だと疑うべき(p179)

・ユダヤ人がサバイバルのために身につけてきた歴史の大教訓は、何かを決める際に、全員一致の決定は無効となり、議論をやり直す必要があるというもの、その根拠として全員一致とは、誰一人として真剣に考えていない証拠であると看做すから(p184)

・イギリス型の情報戦は、予算も少なくピンポイントの情報収集を行った、それに対してフランスは総花的に情報収集を行ったので、イギリスの弱点を素早く見つけられなかった、これがアフリカ植民地をイギリスに奪われたことに繋がった(p202)

・世の中の変化は大きく2つのパターンがある、1)規模は大きくないが、突発的に変化がわかるもの、2)ソ連型の崩壊のように大規模な変化で、事前に予兆があるもの(p211)

・アメリカ政府は1935年に長期人口予測(1965年に人口は3分の2)を行ったが、第二次世界大戦が始まると出生率が上がった、イギリスは20世紀初頭に出生率が大きく低下して、14例の人口予測を出したが、完全に外れている(p216)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス術
感想投稿日 : 2012年5月8日
読了日 : 2009年7月4日
本棚登録日 : 2012年5月8日

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