人間失格 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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【読もうと思ったきっかけ】
日本のベストセラーランキングで歴代3位(657万部)だったのと、一生に一度は読むべき小説人気ランキングで1位だったことに興味を持ったため。

【読後の感想】
初の太宰治作品。
解説を含めても180ページほどなので、2時間ほどで読了。
いわゆる日本人が書いた古典(1948年刊行、古典が何年前からなのか定義を調べてないので、古典の分類に入らなかったら、すみません)を読むこと自体も初。
今まで昔に書かれた小説は正直敬遠していた。文体や仮名遣いなど、勝手なイメージだが読みにくそうなイメージが頭にこびりついていたので。
実際読んでみると、ほぼ現代の小説と変わらずスラスラと読めた。

(ここからネタバレ含みます)
内容は巻末の解説にもあったが、太宰の内的、精神的な自叙伝である。私小説とは違って事実そのままではないが、より深い原体験をフィクショナルに表現しているとのこと。

(太宰治の簡単なプロフィール)
1909年青森県津軽に生まれる。生家の津島家は津軽屈指の大地主、富豪で父は衆議院議員にもなった地元の名士。
太宰は6男(11人兄弟の10番目の子供)。
津軽に生まれ育ったこと、生家が大地主であったこと、六男坊として育ったこと。
この3つが太宰治の生涯と文学を知る上で、重要とのこと。

(感想)
読了前に本書を読了した知人に感想を聞いてみると、「読後感は結構ネガティブになるよ」と聞いていて心構えが出来ていたからか、そこまでネガティブになることもなく読了。
ただ主人公には、アルコール依存症、薬物中毒、自殺未遂など、自分では理解できない行動に対しては、正直共感はしにくかった。
今までほぼエンタメ小説(純文学以外)しか読んでこなかったが、最近哲学や文化人類学の書籍を少しづつ読んできた影響なのか、自分で理解できない登場人物の言動なども、ストーリーに没入しっ放しでななく、少し離れて俯瞰で読み進めることもできてきたことが、純文学を読む下地が出来つつある兆候かも。
僕のように純文学に挑戦したいけど、純文学に対しては抵抗があるという人の純文学入門編としては、オススメできる作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年2月11日
読了日 : 2023年2月11日
本棚登録日 : 2023年1月24日

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