たまたま拾い育てた鶯の鳴き声が評判を呼び、今では好事家から鶯を預かる事を生業にしている、貧乏旗本の次男坊・只二郎。
ある日預かった鶯を逃してしまい、悪くすれば切腹かと落ち込む只次郎だったが、連れていかれた居酒屋『ぜんや』で、工夫を凝らした料理と、菩薩のような笑顔で迎えてくれる女料理人・妙に出会い、すっかり常連に。
その折り、ふとした妙のつぶやきに助けられた只次郎は、知人に悩みごとがあると聞けば“旨い料理で元気づけよう”と『ぜんや』に案内して…
料理をテーマにした時代小説アンソロジー『まんぷく』の中で目に留まった坂井希久子さん。
行きつけの図書館に収蔵されていなかったので、まず現代ものをいくつか読んでから、ようやく本作に。
美味しそうな料理が登場するだけでポイント。
只次郎の憎めない人柄でもうひとつポイント。
今のところ極悪人も出てこないし、妙は夫や両親を亡くしているけれど、これから只次郎がますます商売を盛り立ててくれそう。
早く早く!先を読みたい!というのではないけれど、のんびり楽しめて、肩の力が抜ける。気分転換にはぴったり。
ちなみに現代ものは、どれも濃い薄いは色々ながら綺麗事ばかりでない苦味、安直にハッピーにならないひねりがあったので、始めから終わりまで素直にさらさらと話が流れて、少し意外。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代もの・平安〜江戸
- 感想投稿日 : 2022年10月3日
- 読了日 : 2022年9月22日
- 本棚登録日 : 2021年5月20日
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