イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

  • 翔泳社 (2001年7月1日発売)
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本棚登録 : 7113
感想 : 501
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たしか8年くらい前に出だしだけ読み興味が持てなくて諦めた本書。8年経っても相変わらず出だし3章はあまり面白くなかったのだが、4章以降はガンガン読み進める事が出来た。
2001年に初版が刊行されたとは思えない出来映えであり、多様性とスピードを持った現代社会における企業の様相は更に本書の示唆する通りに変化し続けているのではないかと感じる。
本書がその多くを割いて証明しようとしているのは「優秀な経営陣が優秀な組織を作り優秀な判断を行う事で企業が破滅に向かう」という一見すると無茶とも思える命題である。しかし細かく精緻な論理展開によってこの命題は驚くほどすんなり読者の頭に響くのが長い間名著として親しまれる所以なのだと感じる。
多かれ少なかれビジネスに携わる人であれば本書の言う「破壊的技術」の一例を思い浮かべる事が出来るだろう。「なんでこんなものが?」と思える製品が「なんでこんな場所(市場)で?」という場所で売れ始め、あっという間に主流市場を席巻してしまう、こんな一例は現代社会ではごくごく当たり前の風景に思える。
本書はいわゆるう優良な大企業がなぜ破壊的技術によって滅ぼされるのか?という大企業からの視点からその謎を解き明かしているが、逆側からの視点、つまり破壊的技術によって市場を席巻する側の視点についても多くの示唆に富んでいる。つまり大企業のマネージャーであってもベンチャーで一発を狙う経営者、双方にとってびっくりするほど有益な書であると言える。
勿論、本書を読んで明日から破壊的イノベーションを目指してさぁがんばろう!という単純な話にはならないだろう。破壊的イノベーションは本書が示す通りその発生当初はビジネスとしては脆弱であり、大企業が見向きもしないような領域を取り扱う。かと言って体力の無い中小企業が取り扱うにはかなりの覚悟とリスクを負って取り扱っていく必要がある。だからこそ誰も彼もが本書を読めば上手くいくという話にはならないのだろう。
とにもかくにも何かを始める時に本書は是非再読したい一冊である事は間違いない。おそらく次回は出だし3章は飛ばすだろうが、それでも一家に一冊置いておきたい本である事に疑いは無い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2014年11月25日
読了日 : 2014年11月25日
本棚登録日 : 2014年11月25日

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