卑怯者の島: 戦後70年特別企画

  • 小学館 (2015年7月17日発売)
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感想 : 32
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素晴らしいです。

特に主張やイデオロギーを語るわけではなく、淡々と戦争という異常な状況を描き出す。

戦場の酷さだけでなく、敗戦後に日本に戻ったときの「どうやら戦地に行った我々は悪者になったらしい。」というセリフは、身につまされた。実際にそうだったのだ。日本人はそれを戦後やったのだ。仮に自分が戦争で運良く生き残り、国に帰ってこんな目に遭ったら・・と思うと、さすがに居た堪れない。確実に人間不信になるだろう。著者が「戦争論」を描いたときに、じいちゃん世代から「よく描いてくれた!」と賞賛を受けたらしいが、その気持ちが伝わってきた。

女性についての描き方も、特に嫌悪感があるとかではなく、まぁ、そんなもんだろうな、という感じだった。平和に生きることが悪いわけではない。好感が持てないというだけ。

戦争をしないことが最優先なのは言うまでもないが、運悪く戦争になったとしても、アメリカや欧州の国々のように、戦場から帰った人を英雄として迎える良心を残した社会であって欲しいと願う。

今となってはこれは願いだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 99_戦争
感想投稿日 : 2019年8月11日
読了日 : 2019年8月11日
本棚登録日 : 2019年8月11日

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