最後の「生き様」を考えさせられる一冊。本書は、医師である著者の患者など二十二人の臨終の様子をまとめたものである。その語り口からは、医者として患者が臨終を迎える瞬間までの過程を正確に記そうとする冷静さと、死という逃れられない運命に立ち向かう患者への敬意が感じられ、非常に惹きつけられる内容となっている。
本書のキーワードは「信仰」である。著者自身がクリスチャンの家系であり、勤務する病院もキリスト教系であるため、取り上げられている患者の多くもクリスチャンである。そのため、死という運命を受け入れる際に「信仰」の果たす役割の重要性が、何度も描かれている。例えば、幼子を遺して亡くなった千浦美智子氏の章や、死を目前に受洗を選択した高橋敏雄氏の章などは「信仰」の果たす意味を強く感じさせられた。
私自身はいわゆる「無宗教」派の人間であり、特に「信仰」の必要性を――もちろん否定するわけではないが――感じたこともない。ただ、本書を読んでいると、果たして自分はこのような最後の「生き様」を見せることはできるのか、その時に「信仰」はどのように自分の目に映るのであろうかと考えさせられた。
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- 感想投稿日 : 2019年7月24日
- 読了日 : 2019年5月29日
- 本棚登録日 : 2019年5月29日
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