出雲と大和――古代国家の原像をたずねて (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2013年1月23日発売)
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感想 : 52
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村井康彦 出雲と大和 

古代出雲論。邪馬台国畿内説と神武東征を通して、出雲王朝から大和王朝への変遷を論じた本


著者のことは知らないが、かなり面白かった


出雲王朝から大和王朝への変遷
*邪馬台国=大和にいる出雲系氏族の連合王朝
*神武東征により、神武勢力が大和に侵攻し、神武が大和朝廷が成立


「伊勢神宮=天照大神=大和=天皇勢力=記紀」と「出雲大社=大国主神=出雲氏族=出雲国風土記」の対照的な関係は興味深く、出雲視点で見る「国譲り」は記紀と微妙に異なる面白さ。饒速日命の帰順を国譲りとし、葦原中国(地上世界)は 天孫に譲るが 出雲国は守ることを主題としている


大国主神(大国様)に異称が六つあることは知らなかった
*大国主神〜大きな国の主。葦原中国の主。大己貴神によって形成された国土の主。
*大物主神〜大和の三輪山に祭られた大神神社の祭神。万物の主、森羅万象を司る神。大国主神が自然神的存在に変身した姿
*大己貴神〜国作り、天下作り、葦原中国を形成した神


出雲国造が朝廷に奏上した神賀詞のなかで貢置を申し出た「皇孫の命の近き守神」
*大国主神の口を通して語られる四つの神を「皇孫の命の近き守神」として貢置した
*大和の神々として、出雲系の神々を選定し貢置した=守神の押し売り





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年2月25日
読了日 : 2022年2月25日
本棚登録日 : 2022年2月23日

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