残像に口紅を (中公文庫 つ 6-14)

著者 :
  • 中央公論新社 (1995年4月18日発売)
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本棚登録 : 11441
感想 : 723
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◯文字が徐々に消えていく小説で、いかなる内容を描写していくのか、興味深く読んでいたが、いささか小説として何をか感じるのは難しかった。
◯文字が減っていく中で、豊富な語彙力を駆使して文書を紡いでいく様は圧巻。また、物語としても展開が小説的に自然に進んでいくのも凄みを感じる。
◯少ない単語の中で展開されるシーンの一つ一つにも、少ない故に選ばれており、演出もそれに応じたものになっていると思われる。例えば、講演での
尊大な語り口や、言葉が足りないからこそ、悲しい伝記など、さすがと思う。
◯やはり表現の自由な小説を読みたい。他者への影響は多々あるかもしれないが、それをそれだけで受け取ることなく、読む側にとっても小説では自由でありたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月13日
読了日 : 2020年6月13日
本棚登録日 : 2020年6月8日

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