とてもとても素敵な話しだ
80分しか記憶がもたない博士
シングルマザーの私
父親を知らないその息子
皆何かが(結構)欠けている人たちばかりだ
そんな3人が欠けているものをまるで補うような、そんな素敵な関係を壊れ物をそっと直すかのように優しさで埋め合う
幸せって何か価値のあるものを持ってることじゃないんだ
こんなふうにそっとそっと作り上げていく時に感じるものだ
改めて人の幸せについて考えさせられた
幸せの尺度を勘違いしている世の中に
「大事なことはこういうことなのですよ」
と静かにそっと囁いて下さるようなそんな小説だ
皆の境遇からして重くなりがちな内容であるが、阪神タイガースネタが何ともこの小説に明るいユーモアを挿し色のように添えている
残念ながら私は巨人ファンであるが当時の選手たちの名前に懐かしさを覚え、楽しくなった(亀山はかっこよかったなぁ)
3人で初めて球場に行ったときの描写も素晴らしい!
自分も初めて球場に行ったときのことを思い出した
想像を越えた球場の広さ
まっさらで綺麗な手付かずのベース
応援席の歓声のボリューム
すべての圧倒的な臨場感
3人の興奮は私の思い出の興奮と同じだ
何か嬉しい
数字の世界も良い
知らないことがほとんどだが、数学って綺麗な世界なんだ
こんな目線で数字を見るって素敵じゃないか
数学の苦手な自分だがとても興味深くキラキラしたものとして博士に教えていただいた(笑)
そしてルート君
君はなんて良い子なんだ
決して恵まれた境遇ではないのに
なんて公正で思いやりがあるのだろう
君の行動や発言には何度も感動したよ
(息子になって欲しいと思う女性が続出に違いない)
自然で嫌味がなく居心地が良い
地味なんだけど、じんわりくる暖かさが本当に素敵である
幸せのお裾分けをしていただいたような、
そんなほっこりと優しい気持ちになれる
大切なことは身近にあるし、ただ気づいていけばいいのですよ
気づくことが大事なのです
「私」が博士の背中を優しく撫でながら
「大丈夫ですよ すぐ良くなりますよ」と言って下さっているように…そんなふうにに優しく教えていただいた
そんな小説だった
他にももっとたくさんの想いがあるが、言葉にするより、心に暖めて噛みしめていたいなぁ…
とてもとても感謝の本
- 感想投稿日 : 2019年12月29日
- 読了日 : 2019年12月29日
- 本棚登録日 : 2019年12月29日
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