ハムレット (新潮文庫)

  • 新潮社 (1967年9月27日発売)
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本棚登録 : 6045
感想 : 337
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人生初のシェイクスピア
四大悲劇を制覇しようと思ったのだが、どれから読んでいいのやら…
とりあえず内容を知っているものから読むことに
(どうやらシェイクスピアのオリジナルではなく北欧伝説を元に作られているようだ、知らなかった)

テンポ感、躍動感がありますね
さすが戯曲作品という感じ
そのせいか途中まであまり「悲劇」感みたいなものが乏しく少し肩すかしを食らう
おまけにユーモアがあることにも驚く
勝手に終始悲壮感漂う内容かと勝手に思い込んでいたのだ

ハムレットは最初ちょっとつかみどころのないキャラクター
「復習に燃える男!」というよりもモヤモヤ、グズグズと葛藤しながら
自分の不甲斐なさを嘆いたり、腹を立てたり、自分を奮い立たせたり…
とやけに人間臭い
これは共感されやすくていいのかも(だって王子だもんね)
周りからは気がふれたと言われていたが狂気を装っているだけ(だと思う)
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
父を殺された屈辱と、あれほど父への愛を誓っていた母の裏切りを胸に耐え忍んで生きるか、
父を殺害した叔父であるクローディアスに復讐して自分も死ぬか
気高く生きるには、どちらを選ぶべきなのか、深く悩む
追い詰められ覚悟を決めたハムレット
でも後半のハムレットはかなりのキレ者だし、愛するオフィーリアとも心できっぱり別れを告げ、(オフィーリアにひどいことをいうけど)一人孤独に闘う
このハムレット自身の展開も作品の展開と相まって流れを作る

最後は怒涛の如く一気に展開してあっという間に、
まさかここまで…という大悲劇が!

描写の細かさ、感情表現の豊かさ
戯曲ということもあるのだろうが、ぎっしり描写のテンコ盛りであった

あと登場人物たちがなかなかのキャラクターなんだよねぇ
父を殺し母と再婚した叔父は言うまでもないが、母親も軽率だしいったい何を考えているのやら…
オフィーリアも弱すぎるし、オフィーリアの父親も長いものに巻かれちゃう感じだし、オフィーリアの兄も激昂タイプ、友人らは寝返って裏切るし…

うーん孤独な戦いで後半はハムレットの心中を察するとなかなか切ない

あと個人的にはミレーの「オフィーリア」が大好きでオフィーリア像が自分の中で勝手に出来上がってしまっていたせいもあるのだが…
彼女の描写に関してちょっと物足りないのと、展開に違和感も残る

あと最後に一番残念なのが、ストーリーを読む前に把握していたことだ!
これ知らずに読んだら最後は衝撃的でしばらく打ちのめされそうである
(5分くらい脳震とう起こした感じになっちゃう気がする)
ストーリーの途中だって、もっとハムレットに同調して盛り上がれた気がする
冷静に読んでしまって、なんだかハムレットに申し訳ない気持ちになった
まっさらな状態できちんと読みたかった!
そういう意味では惜しいなぁ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月13日
読了日 : 2023年4月9日
本棚登録日 : 2023年4月9日

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コメント 2件

淳水堂さんのコメント
2023/04/15

ハイジさんこんにちは(^o^)/

シェイクスピアはずっと前にかなり古い翻訳で読んだだけなので、ハイジさんのレビューで新潮社シェイクスピアも読んでみたくなりました!


シェイクスピアは映像でもおもしろいですよ。
『ハムレット』の映画では、メル・ギブソン版が案外面白かったです。
マッドマックスでリーサルウエポンな男が憂いの王子を演じるのか!?と思ったのですが、非常に躍動感があり、男の迷いや哀しみが感じらました。
https://movies.yahoo.co.jp/movie/18428/

クローディアスとガートルード妃が再婚したのは、私としては相続の問題か?って思いました。戦乱期の兄の未亡人と弟が再婚と同じかなって。
なお上記の映画ではガートルード妃はグレン・クローズが演じていて、ハムレットが嘆いたように「父上が母上を大事に大事にしすぎたから」というようにな〜んにも考えていない幸せな王妃様ってかんじで、な〜んにも考えずにクローディアスと再婚して新しい幸せを掴んだのね、って感じでした 笑
終盤はそんなガートルード妃も深刻さを帯びていくんですけどね。

また劇団四季の舞台も見に行ったのですが、その時の配役ではボローニアスがとても良かったんですよ。ハムレットとボローニアスのやり取りはお茶目で笑えたし(狂ってるなりに筋が通ってる、というのがピッタリのやり取り)、ボローニアスがレアティスとオフィーリアに送った忠告も至極まともに聞こえました。配役って大きいですねえ。

オフィーリアも戯曲では案外出番が少ないんですよね。ミレーの絵のおかげで最期についても絵的に印象ができてしまっていますが、戯曲ではオフィーリアの死は口頭報告だけですもんね。それでも多くの画家が想像で描きたくなる場面を書いたシェイクスピア凄いということなのか。
なお、オフィーリアの死が口頭報告なのは、シェイクスピア当時には幕も証明もないので死体を出したら片付けなければならなくて(ボローニアスの死体はハムレットが舞台袖に引きずって片付けた)、オフィーリアの死も観客に「見せる」ことはできなかったようです。ローゼンクランツとギルデンスターンの死も取ってつけたような口頭報告ですもんね。

あとディズニーの『ライオンキング』って要するに『ハムレット』ですよね?ライオンキング見たときに「これ良いのか?」っておもいました(^_^;)

長々とすみません。

ハイジさんのコメント
2023/04/15

淳水堂さん こんにちは
コメントありがとうございます!

なんと!
メルギブソンがハムレット演じてたんですか?
知りませんでした
確かにリーサル・ウェポン、マッドマックスなどアクション俳優のイメージが強いですし、王子なんて柄じゃない…と失礼ながら笑ってしまいました
が、淳水堂さんのコメント読んで気になりましたのでまた機会を見つけて観たいと思います
貴重な情報をありがとうございます(^ ^)

淳水堂さんの目の付け所も笑ってしまいました!
〜オフィーリアなどの死が口頭報告〜
確かにイチイチ死体を片付けるシーンを入れるのは大変ですよね
オフィーリアには美しく死んでいただかないといけないし(笑)

そしてあれほど有名なライオンキングのストーリーを知らない私…
すみません

いつも情報たくさんいただいてありがとうございます♪

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