原罪の庭 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2003年10月15日発売)
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感想 : 56
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これまで読んできた篠田先生の「桜井京介」シリーズの中では異色で、私にとって今の所一番の作品になりました。

とにかく、印象的で心掴まれる言葉が散りばめられていて最後までどんな結末が待っているのか分からなかった。

文字通り、本に吸い込まれました。


★「僕は、自分と同じものを他人に要求したことはありません」

「身勝手に一方的に思い込んで他人に期待して、相手がそれから外れたといって裏切られたと騒ぐような、甘ったれた真似だけはしたくないんです。そんな醜態を晒すくらいなら、傲慢だと非難される方がはるかにましです」


★あまりにも無力なもの、無垢のもの、無防備な存在はそれ自体で人を引き付け誘惑するのだ。
自分の全てを投げ打っても守ってやりたいという思いと、同時に奪いたい、傷つけたい、蹂躙したいという暗い欲望で。

★確かに人間というものは、時代によって変化しながらも、奥底の部分では安易に変われぬものだ、と思う。
 そうでなくてなぜ古代奴隷制社会に機嫌を持つ一つの宗教が、二千年後の現在も地球人類の三分の一を信徒に持ち得るだろう。

キリスト教が現代まで命脈を保っている事も、人の心が良くも悪しくも変わらないこと、変われないことの証としか思えないのだ。




きっと、ただの推理小説じゃないことでずっとずっと引き込まれる度数(なんじゃそりゃ)が私の中でググッと高いのではないかな〜って思う。

そのほかにも、この「原罪の庭」には、自閉症と、自閉状態の違い。そういう深い考えも沢山詰まっている。

是非ッ是非多くの人に読んでもらいたいなって。そう思います。

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感想投稿日 : 2007年1月24日
本棚登録日 : 2007年1月24日

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