葉桜の日 (新潮文庫 さ 27-2)

著者 :
  • 新潮社 (1993年10月1日発売)
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本棚登録 : 440
感想 : 33
5

高校か大学1年の頃、妙に鷺沢先生の小説にはまった時期があった。
今となってはその理由がさっぱり思い出せないのだけれど、はっきりしているのは、多分、あの頃の私はこの話をよく理解できなかっただろうということだ。
年齢的には、あの頃の方が登場人物に近いはず。
けれど、生活するということ、生きるということをいまいち分かっていなかったあの頃には、この本にちりばめられた桜の花弁も、きれいごとでも格好のいい話でもない、普段なら気にも留めない人々の、気にもならない日々も、目に映らなかっただろう。
今の私はジョージの年も健次の年も超えている。
次は、誰の年になるのだろう。
その頃にもう一度読めば、また見えなかったものが見えてくるのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学・評論
感想投稿日 : 2015年10月29日
読了日 : 2015年10月29日
本棚登録日 : 2015年10月29日

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