舞台はスターリン体制下のソ連。国家保安省の捜査官だった主人公が、奸計にはまって田舎の民警という地位に落とされてしまうのだが、スピード感のある文章でとても読みやすかった。何より、国家の陰惨な世情が色濃く反映されていて、保身に走らざるを得ない人々の黒く淀んだ感情は、読んでいて気が滅入るほどだ。権力を失って初めて浮き彫りになった夫婦関係の危うさを抱えつつ、殺人事件の真相を追うことに夢中になりはじめた主人公は、その行動により己と周囲にどういう影響を及ぼすことになるのか……下巻が楽しみだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外:ミステリー
- 感想投稿日 : 2013年8月17日
- 読了日 : 2013年8月17日
- 本棚登録日 : 2013年8月17日
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