【読書レビュー 592】
エドワード・サイード『オリエンタリズム上』平凡社、1993年
以下、本書より。
オリエンタリズムとは、文化、学問、制度に外側から映し出された単なる政治的な研究主題または研究分野などではない。
また、オリエント関係の膨大なテクストのとりとめのない集合でもない。
さらにまた、「オリエント的な」世界を抑圧しようとする「西洋の」なんらかの悪辣な帝国主義的陰謀を表象したり、表現したりしているものでもない。
むしろオリエンタリズムとは、地政学的知識を、美学的、学術的、経済学的、社会学的、歴史的、文献学的テクストに配分することである。
またオリエンタリズムとは、(世界を東洋と西洋という不均等な二つから成るものに仕立てあげる)地理的な基本区分であるだけではなく、一連の「関心」、すなわち学問的発見、文献学的再構成、心理学的分析、地誌や社会誌の記述などを媒介としてつくり出され、また維持されているような「関心」を精緻なものにすることでもある。
さらにまた、オリエンタリズムとは、我々の世界と異なっていることが一目瞭然であるような(あるいは我々の世界に変わり得る新しい) 世界を理解し、場合によっては支配し、操縦し、統合しようとさえする一定の意志または目的意識―を表現するものというよりはむしろ―そのものである。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年7月18日
- 読了日 : 2022年7月18日
- 本棚登録日 : 2022年7月18日
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