七瀬ふたたび (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1978年12月22日発売)
3.68
  • (306)
  • (493)
  • (656)
  • (55)
  • (11)
本棚登録 : 4101
感想 : 388
3

「家族八景」に続く、七瀬3部作シリーズの第2作。
前作は住み込みの家政婦としていろんな家を転々とするテレパスをもつ美少女・七瀬を通して、8組の家族模様がえがかれる作品だったが、今回は一転してSFサスペンスだった。

・孤独なテレパスの七瀬が、同じ能力を持つ子ども・ノリオと出会う「邂逅」

・ノリオと暮すため手持ちの鉦を増やそうとホステスとして働く七瀬が、店での事件に巻き込まれる「邪悪の視線」

・フェリーで進む七瀬たちが殺人事件に巻き込まれ、そこで新たなる能力者と出会う「七瀬 時をのぼる」

・テレパスを使い金を稼ぐためカジノに向かった七瀬は、とてもよく喋る“ヘニーデ姫”と出会うが、帰りの船内で自分を狙う強い意志を感じ、難を逃れようとヘニーデ姫と行動をともにする「ヘニーデ姫」

・七瀬たちを滅ぼそうとする不気味な集団との最終バトルをえがいた「七瀬 森を走る」

本書はこの5つの作品から成り立っている。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

七瀬たちが次第に追い込まれ、しかもその相手の目的もよくわからず、ただ強い殺意だけは明確。
その不気味さは後半にいけばいくほど濃くなり、逃げ場のなさに恐怖を覚えた。

ラストシーンも「えっ、これで終わり?3部作の第2作なのに、この終わり方??」と呆然となり、すぐさま3作目を図書館で予約した。
「七瀬 時をのぼる」も少し消化不良で、窮地をある人物に救われた七瀬がそこからどんな策で展開をひっくり返すのか?が書かれないまま、お話が終わってしまった。そこからの展開もぜひ読みたかった…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

もんのすごく3作目「エディプスの恋人」の展開が気になっている。
しかし真相を知ってしまうと3作目を読めなくなってしまうらしく、必死にググりたくなる衝動を抑えている。

2作目となる本作を読んだ限りでは、これが3部作だなんて信じられないのだが、全部読み切った方にとっては納得の3作目ラストらしい。
2022年中には「エディプスの恋人」も読みきって、新しい年を迎えたい。

今年のサスペンスは、今年のうちに。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年12月18日
読了日 : 2022年12月16日
本棚登録日 : 2022年11月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする