理屈じゃなく、気持ちをそのまま感じることの大切さ。
心を癒やしてくれる冬の1冊。
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街に降る雪。
「雪が降ってる!」
窓から空をみた男の子は、にこにこと叫びます。
でもオトナたちは、すました顔でこういうのです。
「こんなくらいじゃ、降ってるとは言えない」
「すぐ、なくなってしまうわ」
でもそんなオトナたちを後目に、雪はどんどんどんどん、降り積もっていき…
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この絵本を読んだのは、まだうつの症状がまだらにある頃でした。
「オトナだから、こうあるべき」
「常識から考えて、それはおかしい」
そんな考えがわたしの頭の半分以上を占めていて、働いていない自分、休んでいる自分にわだかまりを抱えていました。
「もっと世界には、わたしよりも苦しんでいる人がいる」
「うつくらいで、しんどいなんて言ってたら、申し訳ない」
見えない“誰か”と自分を比べ、自分が感じているしんどさは感じてはいけないことなんだ、と日々思っていました。
そんなときに読んだのが、「ゆき」という絵本でした。
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わたしたちは科学を発展させ、地球の王さまのように振る舞っています。
けれど、未だに天気は操れないし、病気をすべて根絶することもできません。
科学がいくら発達しようとも、人間にできることなんて、ほんのわずかなことです。
それなのに、自然のことや地球のことは何もかもわかったような顔をして、雪でさえも「こんな雪はすぐ止む」「たいしたことない」なんて、上から目線でしか言えない“オトナ”たち…
なんだかその姿が滑稽に思え、また理屈や常識、外聞にとらわれている自分もまた、この絵本のオトナたちとおなじではないか、と思いました。
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雪が降ると面倒だ。
雪はうんざりだ。
けれど小雪になると「冬っぽくない」などと、騒ぐ人間という生き物。
そんな中にあって、ただひとりだけ、「雪が降ってる!」とにこにこ空を見上げて、犬と喜ぶ男の子。
大雪に備えることはもちろん大切だけれど、雪が降るそのワクワク感を手離したら、人間は人間でなくなってしまうように思います。
わたしもまた、常識や外聞、理屈というもので自分を固めすぎ、気持ちを素直に感じとることを、長く忘れていました。
「雪はうんざりだ。」
そう思う人も居ていいけれど、
「雪が降って楽しい、うれしい」
そんな風に感じる人も、居ていいんだ。
自分の感情を、きもちを、ありのまま受け止めて、楽しんだりおもしろがったり、哀しんだりしていいんだ。
わたしは泣きました。
この絵本を読んで泣きました。
今年も雪を眺めながら、この絵本とともに、「ちらちら おどって、くるくる まわって、」(引用)雪をたのしんでいます。
- 感想投稿日 : 2021年1月3日
- 読了日 : 2019年6月26日
- 本棚登録日 : 2019年6月26日
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