最後まで読み終わり、この作品は今までの過去の小説の集大成のようでありながら、決定的に違うものだったのだと改めて確信した。村上春樹氏の作品が、阪神や東北の震災、あるいはオウム真理教の事件などを経て変わってきているとは思うのだけれど、さらにその先の「再生」にフォーカスされているように感じる。「私」は川をわたって何を失い何を得たのか。まりえはイフクと騎士団長に守られて、何を失い何を得たのか。あえて未完成にされた絵は。たぶん答えは出ないし、読み返すたびにきっと違う感想を抱くのだろうけれど。
性描写が多くて、ちょっと困ったな、という感じはあるのだけれど(ひとに勧めにくい)、それでもきっとこれから先も読み返すことになるであろう小説。とても好き。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
村上春樹
- 感想投稿日 : 2017年4月9日
- 読了日 : 2018年11月21日
- 本棚登録日 : 2017年4月9日
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