間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ―非機能要件の開発と評価 (Software Design plus)

  • 技術評論社 (2010年8月17日発売)
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感想 : 38
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アーキテクトとして活躍するトム・エンゲルバーグさん著。そしてSpringユーザ会で、WebLogic勉強会で有名な長谷川裕一さん、土岐孝平さんによる翻訳です。

「間違いだらけのソフトウェア・アーキテクチャ」とは私にとってとってもしっくり来るタイトルです。
建築でもソフトウェアでも同じだと思いますがアーキテクチャというのは唯一の解があるものではなく、同じ目的・機能を実現するのに幾通りもの方法があります。
正解がたくさんあるのと同時に、目的・機能を実現出来ていながら明らかに不正解と言えるアーキテクチャもあります。

この本は後々ボロを出さないためにも「間違いだらけ」にならないアーキテクチャを決定するための著者なりの方法論や経験が書かれています。
ただ、方法論といっても堅苦しいものではありません。アーキテクトとしてのベストプラクティスについてのセミナーの様子を一冊の本にまとめたという設定で、筆者の視点から饒舌に語られています。
さらにセミナー受講者としてシニア・マネージャやSE、宇宙人(!)など様々な立場の人が登場し、様々な角度からの質問をぶつけてくるのに対して軽妙な語り口で筆者が答えていくという面白いスタイルになっています。

経験豊富な筆者の話をあるある(笑)、と読み物として楽しむのも良いですし、筆者の経験を疑似体験して実際の開発に役立てるのも良いと思います。

体系的に方法論を学べる本ではありませんがどのようなレベル、立場の方でも何かしら得るものがある本だと思います。

私は最近エンジニアでないお客様に見積もりの提示やその根拠の説明をしなければならないことが多いのですが、本書でクローズアップされている「非機能要件」の定義についてはちょっとヒントを貰えた気がします。

なんだかざっくりとした書評になってしまいましたが、フランクな文体で書かれており肩の力を抜いて読める面白い本です。
# そのフランクな文体が長谷川さんと土岐さんを悩ませたことと思いますが・・・

ちなみにトム・エンゲルバーグさんは Java のスペシャリストみたいですが本書は特に Java に特化した内容ではありません。モダンなオープン系システムの開発に携わっている方であればすんなりと読めるはずです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: プログラミング
感想投稿日 : 2011年7月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年7月27日

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