前回読んだのは多分15年くらい前だと思うが、意外と細かいところまでよく覚えている。いつもは読んだ内容はわりとすぐ忘れるので(ミステリーのトリックや犯人だって忘れちゃう)、やはり自分にとってインパクトのある作品だったんだなと思いながら、懐かしく面白く再読中。一番たくさん読書していた頃に読書記録をちゃんとつけておいたら、感じ方・考え方の変化がわかって良かったかもな。
この巻では、青豆さんが自分の陰鬱な生い立ちを思う第21章「青豆 どれほど遠いところへ行こうと試みても」がとても好きだ。「自分が手にしているもののほとんどは、その暗い土壌に根を下ろし、そこから養分を得ているみたいに思えた。どれほど遠いところに行こうと試みても、結局はここに戻ってこなくてはならないのだ。」
書かれていることは暗く重たいはずなのに、読んでいると不思議と安心感や嬉しさがある。作者が人の深い思いを漏らさず掬いとって丁寧に言葉にしてくれているのが伝わってくるからかもしれない。
読書状況:読み終わった
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Audible
- 感想投稿日 : 2023年8月18日
- 読了日 : 2023年8月18日
- 本棚登録日 : 2023年8月18日
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