生まれながらにして人の心を読みとる能力を持った七瀬は、高校卒業後、自身の特殊性がバレないようにとあえて住み込みのお手伝いをしている。しかし同じ家庭で働くのは中々難しく働き先を転々としている。その働き先におけるエピソードの連作短編集。
夫々の家族は表向きはどこにでもありがちな家族構成だが、心の中を覗き込むと彼ら彼女らの赤裸々な感情が七瀬に飛び込んでくる。
筒井康隆ならではのシニカルでコミカルな文体で、ぐくっとストーリーに引き込まれるのだか、ラストにくるのはカウンターパンチ。
七瀬シリーズの一作目で、何度も映像化された不朽の名作だが通して読んだのは初めて。
初出は昭和47年なのでほぼ半世紀前の作品で昭和の香りだが、所詮、人間の営みにおける悲哀や欲望は変わらない。
個人的には、J・J、植草甚一の解説がボーナス的で嬉しかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2021年10月1日
- 読了日 : 2021年10月1日
- 本棚登録日 : 2021年10月1日
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