Utopia Avenue: The Number One Sunday Times Bestseller

著者 : DavidMitchell

• Sceptre (2021年5月13日発売)

感想・レビュー・書評

[johnnycakeさんの感想 · 2021年10月18日]

1960年代後半にイギリスで結成された架空の４人組バンドUtopia Avenueの結成時からアメリカツアーまでを描く。4人のうち３人の視点からバンドの動向とそれぞれの私生活が語られる。実在の有名ミュージシャンもそここに登場し、６０年代の音楽シーンや、当時のロンドン・ニューヨーク・カリフォルニアが好きな人には楽しめる話だと思う。Cloud AtlasのDavid Mitchellを期待して読むと、肩透かしをくらう感じ。ファンタジー要素は、Jasperの語りの部分にわずかに残る程度なのだ。

家族読書会の課題図書として６０年代の音楽大好きな連れ合いが選んだ本書、正直長かった。読みやすいのだけれど、こんなに長くする必要ある？という部分も。Cloud Atlasもそうであったけれど、この作品も４つのノヴェラをゆるくつなぎ合わせた長編という捉え方のほうがいいのかも。途中Cloud Atlasの登場人物は作者の他の作品の内容につながる部分も出てきて、後で調べたらいくつもの作品に繋がりを持たせるのが好きな作家だということだ。それはそれで面白い。