地球・環境・人間 (岩波科学ライブラリー 124)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (110ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000074643

作品紹介・あらすじ

食糧不足、絶滅の危機、地球温暖化、…。これらの言葉は今や日常化し、深刻さの度合いは強まる一方なのに、私たちの想像力はどこか萎縮してはいないか。世界中のあちこちで集計され発表される統計データが何を語るのか。無機質に見える数値の裏側に見え隠れする環境としての人間活動の実態を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • 勉強になりました。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:519||I
    資料ID:50601325

  • 地球に対して、人間生活(産業含む)がどのような影響を与えているのか。自然に対しての影響を数値的に読み解く。科学的かどうかは私には分からない。ただ、数値の重さは感じる。

    また、人間が行う行為によって、人間自身がどれだけの被害を受けているのか。飢餓や戦争、自然破壊による自分たち人間自身が生きづらくなってはいないか。この本は、それを訴えているように思う。

    バヌアツやツバルなど、国が沈んでいく島国の人たちの悲哀。エイズ患者を多く抱えるアフリカに対する先進国の扱い。スラム化していく後進国における劣悪な環境化での生活。どれも、自分には関係ないようで、それでいて「本当に関係がないのか」、と自らに問いたくなる。

    特に私の心を捉えたのは、森林の破壊だ。「火は一日で森を灰にするが、水と風は100年かけて森を育てる」※とは風の谷のナウシカに出てくる爺さんたちの言葉だ。ここでは火で森を焼くわけではないが、同じように伐採により森を破壊する。破壊された森を再生するのは容易なことではない。それでも経済活動は伐採を促進する。アマゾンの森、インドネシアの森、ロシアの森。様々な理由によって破壊されていく森。それを私が切実なものと感じる機会は、日常生活において皆無なのだ。

    ※上記のナウシカ内のセリフは本書内には出てきません。

    先進国と呼ばれる国に生まれ、働き場所を選ばなければ生きていけるように考えている私。もちろん、それ自体も簡単なことではなくなってきたようだが(ワーキングプアや貧困高齢化など)、それでも日々の生活だけに捉われない毎日を送っている。それが果たしてどこに歪みを生んでいるのか。私が享受している利便性が、「まったくその利便性に縁のない人たち」の暮らしを圧迫している事実について考える。

    いま、出来ることをすれば良い。それは私のエコロジーに対する心構えだ。それ以上の事は出来ないし、それ以上の事をしようと思えば、すべてを投げ出して見ないフリをして生きてしまいそうだ。

    それでも、単純にゴミを減らすことに意味を求めていきたいと、そう思った。

  • 野生生物が20%絶滅している。
    エイズ患者が4,000万人になる。
    世界のスラム人口が10億人を超えた。

  • [ 内容 ]
    食糧不足、絶滅の危機、地球温暖化、…。
    これらの言葉は今や日常化し、深刻さの度合いは強まる一方なのに、私たちの想像力はどこか萎縮してはいないか。
    世界中のあちこちで集計され発表される統計データが何を語るのか。
    無機質に見える数値の裏側に見え隠れする環境としての人間活動の実態を明らかにする。

    [ 目次 ]
    地球・環境・人間(スマトラ沖地震で明るみに出た環境破壊;地球の生態系が危機状況に;狂牛病(BSE)が加速するアマゾン破壊
    枯渇する海―漁獲量の減少がはじまった ほか)
    地球のあちこちから(ダム取り壊しのその後;滅び行く言語;つづく地球温暖化の異常現象;黄砂の当たり年)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 環境問題など,地球のあらゆるところで起こっている深刻な問題について,丁寧に解説している。
    ジャーナリスト出身の筆致は具体的で問題点を的確にえぐる。
    今,どうすることが必要かがよく分かる。

    たとえば,「スマトラ沖地震で明るみに出た環境破壊」では,本来だったら津波を防ぐはずのマングローブの林が伐採されてエビの養殖場になっていたこと。しかもマングローブは炭となって日本に輸出されていることなどが明るみに出ている。

    森林資源が枯渇している中国での建設ラッシュを支えているのは,木材を違法に伐採して中国に違法輸出している,ロシア,インドネシアであること。ロシアではマフィアが横行し,インドネシアには,軍幹部,大森林所有者,多国籍企業の「腐敗のトライアングル」が存在しているという。

    また,貧しい国では内戦などが勃発しているケースが多いが,そのような地域に武器を供給しているのが,世界の武力紛争を監視しなければならないはずの国連常任理事国だったりする。

    「イラクとアフガニスタンの戦闘と占領のために2005年6月までに費やした費用(推定2300億ドル)があれば,必要としている世界の人々に,最低限の食料,エイズの治療薬,予防接種,安全な水と衛生設備を供給できる」

    座右の書として置きたい1冊である。

  • どれだけ人間が環境破壊しているか、世界各地で起こっていることを知った。

  • 地球環境に関して、現状問題、原因、数字、現在の取り組みについて、分かりやすく書かれており読みやすい。
    産業革命から100年が経ち、ここにきて顕著に問題が明るみになってきている。
    唯一の救いが、色々な団体が立ち上がり、改善の方向に進んでいるもの、二酸化炭素の排出量は減少傾向に無い。

    トピックス:
    【スマトラ沖地震での自然破壊】
     今まで海がめを保護してきた人達が、生活のために捕獲している。

    【枯渇する海】
    最近マグロの高騰で魚の減少が注目をあげているが、魚の乱獲(主にトロール漁)で海から魚が消えている。
    今後も、世界人口の増加により魚の捕獲は必要。

    【野鳥の2割が絶滅の危機】
    温暖化や森林破壊の影響で生殖地が減少している。
    天敵の野鳥が減ることにより、病気を伝播する昆虫や農作物の害虫が増える。
    動物の死体処理、種子の運搬、花粉の媒介といった生態系の重要な機能が失われる。

    【北朝鮮の自然破壊】
    核兵器、拉致問題、貧困などの問題は耳にするが、環境もかなり深刻。
     1)食糧難のために、森林を伐採し、農地にする。
     2)森林が無くなる事により、降水量が減少し農作物が育たない。
     3)雨が降れば「緑のダム」を失ったために、洪水になる。
     4)洪水になると、農地が無くなる。
    といった、悪循環を繰り返している。

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著者プロフィール

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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