- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000234863
作品紹介・あらすじ
マルクス、その可能性と限界-六〇年代、政治の季節の、こわばり青ざめた顔に血を通わせる、人間マルクスへの接近。著者自身の翻訳によって、死、性愛、感覚、音楽などをめぐる、初期マルクス・アンソロジーを編む。疎外のむこうにマルクスが見て取った全人的人間像を探り、その人間観・自然観の変奏のプロセスを追う。人間解放のヴィジョンの再生のために。
感想・レビュー・書評
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青年マルクスの目に労働、社会、国家はどのように映っていたのか。一気に読める内容ではないが、久しぶりに、先へ先へと気持ちを走らせながら読んだ。
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ヘーゲルの著作をわかりやすい日本語で翻訳したことで知られる著者が、初期マルクスのテクストを読み解きつつ、その思想を解説している本です。「岩波市民セミナー」で著者がおこなった四回にわたる連続講義にもとづいています。
『経済学・哲学草稿』を中心に、『ヘーゲル国宝論批判』『ヘーゲル法哲学批判序説』、そして『ドイツ・イデオロギー』などの著作がとりあげられています。著者がとくに注目しているのは、初期マルクスの疎外論およびそれにもとづくマルクスの人間観です。著者によれば、人間を社会的存在とみなす思想を掘り下げて展開しており、たとえば音楽を鑑賞するといった、感覚的に享受される経験ですらも、つねにすでに社会的な規定を受けたものであるという見かたが示されていることを説明しています。もっとも著者は、そうした社会的ないし歴史的な側面を排除して、現在の感覚にのみ依拠するしかたで議論をおこなうことも可能であることに目を向けていますが、それによってマルクスの思想が向かっていく方向性が明確になっていることがわかります。
さらに、こうした初期マルクスの人間観が、『資本論』に代表される後期の経済学についての研究のなかで、どのように変質していったのかということについても、目くばりがなされています。そして、とりわけ近代市民社会における労働の疎外に注目することで、私有財産制の廃止という共産主義への展望を切り開くことになった一方で、初期マルクスの人間学的な洞察にもとづいて、人間の歴史をトータルに把握するような哲学的な思索が背景にしりぞいてしまったことを指摘しています。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階 請求記号134.53/H36 -
長谷川氏のマルクス解釈
初期マルクスを哲学的に読み解き、彼の思い描く真の労働、人間的解放の姿を遠望する
読了した感想としては、3つ
すごく読み易く書いている
それゆえ定義が曖昧で語意が重複している部分も
想像力を働かせて読むと面白い
完全なる空想だが、マルクスは宗教をフォイエルバッハに倣って骨抜きにしたが、しかし、現実の理性的世界の裏にある真なる世界の境地に、理性に目隠しされた日常的生活から到達できるように感じていたのではないだろうか