テロルの時代と哲学の使命

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000240093

作品紹介・あらすじ

二〇〇一年九月一一日-現代の批判的知性を代表するふたりの哲学者は、この日の出来事にどう向きあったのか。衝撃の余韻が残るニューヨークで行われた、ハーバーマスとデリダによる二つの対話は、"啓蒙"の遺産に対する厳粛な省察を通して、現在進行形の"テロへの戦い"が私たちにもたらした問題と、九・一一以後のグローバルな課題に介入する。本書は、ふたりが同じ問題にパラレルな仕方で応答し、相並んで登場することに同意した初めての機会である。

感想・レビュー・書評

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  •  グローバルテロリズムとは如何なものであるか、ハーバーマスによれば、それは現実的な目標を欠いていること・複雑なシステムの脆弱性をシニカルに利用するという点で、極めてラジカルであるという。すなわち、三つの異なるテロリズムの種類。1)パレスチナのテロリズム2)準軍事的なゲリラ戦モデルのテロリズム3)グローバルテロリズム。の内、3)のグローバルテロリズムが最も政治的な主張を提出していると回顧的に認められる見込みの少ないものである。現実的な政治目標を欠いているにもかかわらず、国家の権威を失墜させるという極度に政治的な目標においては成功しているのである。この種の極端なまでの反コミュニケーションについて、どう対処するかという点については、かなり歯切れが悪い。知れば知るほど、問題が入り組んでいて、袋小路から脱出できないのではないかという疑いがより確固たるものに変わってしまいそうで怖い。解決の糸口が今のところちょっと思いつけない。

  •  ハーバーマス、デリダが9.11を語る本。個人的には、やっぱりハーバーマスは合わない(というか、彼のバックグラウンドであるフランクフルト学派と彼の著書を読んでいない)から、良く分からない。一方で、デリダのアプローチは、自分の思考体系的に合う。ハーバーマス分からん(-_-メ)

  • 理想主義のハーバーマスと懐疑主義のデリダ──まずはそんな印象を受ける。テロルとは何か、正義とは何か、啓蒙とは、寛容とは、“赦す”とは、“招待”と“歓待”の違いとは……様々な断片的な概念について厳粛な再考を促された気がした。要再読。

  •  デリダ逝去。
     そこに乗っかって、というのも失礼ではあるんだけど、デリダ関連で近年一番注目せざるを得なかった本を一冊思い出したんでオススメ。

     デリダとハーバーマスの共闘。ネオアカ世代として生まれ、十代の終わりでポストモダ〜ンに翻弄されまくったオイラたちは、思わず目をパチクリさせたもんでした。いちばん多感な時期に最初に出会った価値観がズタボロに攻撃されてブッ壊れていく姿を見ちゃったからねぇ・・・。

     かつて相容れない者同士だった2人が手を結んだように、時代は変わる。人も、それぞれの価値観も。
     ただ、コミュニケーション的理性だけは失われていないし、今後も失われてはいけない。

     戦争にもテロにも脅かされない世界を手に入れるために、異なる者同士が平等な位置に立ち対話するということから立ち上がる秩序の再構築、その可能性について、改めてここで考えてみたいところ。

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