フランスアンシアン・レジーム論: 社会的結合・権力秩序・叛乱

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000246361

作品紹介・あらすじ

「身体性と心性」「ソシアビリテ」「権力と表象の社会史」-豊かな方法論を提唱して、現代歴史学の革新に寄与しつづけた著者。歴史に対するその深い洞察は、"いま"を生きることの切実な問い直しから生まれ、アンシアン・レジーム期フランス史という具体的なフィールドのなかで彫琢されてきた。パリ近郊フルーリ村の生活を分析した仏語論文の翻訳、ブルターニュの農民叛乱をめぐる「権力の社会史」を描いた論文などの重要論考を集成し、著者の研究の軌跡を通観する初めての論文集。

感想・レビュー・書評

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  • フランスのアンシャン・レジームに関わる11の論文を集成したもの。第二章「転換期の土地経営における領主・地主・小作関係」のような伝統的な経済史的研究から、第九章「王の儀礼」のようなアナール学派的方法論から示唆を受けた研究まで、様々な観点のもとフランスのアンシャン・レジームに光が当てられている。各章の構成は必ずしも発表年の順序に従っていないが、とりわけ序章「アンシャン・レジームの国家と社会」と第八章「フランス絶対王政の統治構造」は視角や内容の点で密接に連関しているので、この二つをセットで読んだほうが二宮史学におけるパースペクティヴの転換をより明確に理解できるだろう。フランス絶対王政が王国の末端までを直接掌握していたといった絶対王政の通念に替えて様々な自生的団体が鎖の環としてつながり、その結節点に国王が存在する、したがって国王は諸団体にそれなりの自律性を認めることによって権力を行使していたという絶対王政を打ち出す第八章、そのような構造的観点に加えて事件による構造の変動にも着目すべきではないかと提案する序章は、例えばドイツの諸領邦における絶対王政を研究する者にとっても貴重な示唆を与えるに違いない。

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