外交証言録 湾岸戦争・普天間問題・イラク戦争

著者 :
制作 : 服部 龍二  白鳥 潤一郎 
  • 岩波書店
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000257800

作品紹介・あらすじ

宇野・海部内閣で総理大臣秘書官として湾岸戦争時に官邸外交を支え、防衛計画の大綱や普天間返還交渉、ガイドラインの見直し、イラク戦争といったポスト冷戦期の安全保障政策に条約局長・北米局長として深く関わった元駐英大使・折田正樹。資源外交、国連改革などに幅広く取り組み、天安門事件や東欧革命をもフォローした彼のキャリアをたどるオーラル・ヒストリーは、外交交渉を考察する際に複眼的な視座を与えてくれる貴重な資料である。

感想・レビュー・書評

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  • 【要約】
    ・元外交官が湾岸戦争、イラク戦争時の外交の舞台裏を語る。舞台裏というほどではなく、その時々の自分の周辺についての状況を率直にオーラルヒストリーとして語ったという感じ。なので、「実はそういうことだったんだ!」という話はあまりない。面白く読めたが、どうしても「包み隠さず」じゃないよねえ?という気持ちは残る。

    ・それにしても何でこの内容で、こんなに高いの?岩波で企画シリーズの3冊目らしいが、編集者のあとがきを読む限りでは聞き取りそのものにかかった時間は最大で30時間弱のはず。後は編集者の作業賃が高いのか?「本書が広く読み継がれることを祈りたい」って、だったらもっと値段を下げるべきでしょ。内容的には口述だけど日本の外交史のリファレンスとして手元に置いて、時々参照したい類いではあるので。そのうち、現代文庫で出るのかな。

    【ノート】
    ・在米大使館で、日本についてアメリカに発信するのが主な仕事とのことだが、それを我々国民が知ることは可能なのか?(P75)

    ・覚えてないとのことだが、これはきな臭いからふれることを避けてるのか?安全保障だよ?(P85)

    ・意外と権力者っつっっても、世間でのイメージほどの全能的な陰謀ってわけじゃないんじゃないの?と感じさせられる。(P104)

    ・サッチャー、「記者会見は平気でやっておられるのですか?」「とんでもない。記者会見は、自分は緊張してもう嫌なんです」(P113)

    ・佐藤優氏が取られた情報かどうかまでは確認しませんでしたが、外務省からは多くの貴重な情報が入っていました。(P155)

    ・秘密にしていた普天間返還合意が日経ワシントンの記者(宮本明彦ってらしい)にスッパ抜かれた。橋本総理から秘密を厳命されてたのに。(P199)

    ・「フセインが安保理決議に従って、どこでも全面的に査察を認めていれば、こういう事態にならなかったかも知れません」って、どこまで本気で言ってる?さらに、P235では「大量破壊兵器がなかったというのは後でわかった話ですが、やったのはけしからんという議論はできるのかもしれませんが、それは後付けの議論です」というのもそう。(P233)

    ・日本人は他国の意識について理解が浅すぎると感じています。依然として心に傷を持っている人がいるということを踏まえて将来のことを考えるようになって欲しいと今でも思っています。(P240)

    ・「カプランは反日グループの中心となっていました。(日本に招待したところ、)自分は酷い目に遭ったが、広島、長崎を見ると日本人も酷い目に遭ったことがわかった、原爆のことを考えると投下したのは米国かもしれないが、投下の決定には英国も加わっており、英国にも責任がある、自分の余命は短いかもしれないが、日英関係のために努力したいということを伝えてきました。この辺りはちょっと感動的。(P243)

    ・イギリスは考え方が教条主義的ではない、非常にプラグマティック。フランスもドイツも最初に理想型ありきのところがあるが、イギリスはそういうことよりも慣行が積み重なり、現在はたまたまこうなったということがあります。(P246)

    ・(常任理事国入りに対して)あんあmりイデオロギー的に日本はこうだとやるべきではないでしょうね。アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスがそういうことを言っているかといったら、そんなことは全然ないわけです。日本は積極的な役割を果たしたいということでいいと思います。(P260)

    ・日本は戦後、大変な努力をして復興を成し遂げたが、それは国際社会あってのことだということを銘記しなければならない。日本の国益は確保していかなければならないが、国際社会の中で大きさに応じた役割は果たしていくべきだと意識する必要があると思う。これからは多極化の時代、アメリカや西欧主導では済まない世の中になってきている。アメリカは非常に大きな国であり続けるのでしょうが、世界の中での相対的な力と言うことになると、小さくなっていくでしょう。それからヨーロッパにしてもそうでしょう。アフリカやバルト諸国のような、普段話題にもならないような国が日本をどう考えているかと言うことにも、思いを致す必要があると思います。(P264)

  • ブレアとブッシュがな案で記者会見をするとブッシュがぼそぼそと時々英語の発音と文法を間違えて発言すると、ブレアがその後に明確な英語で論理的に説明をしていた。ブレアは欧州の中でもかなり存在感があった。イギリスの中では親ヨーロッパだった。シラクとはイラク問題で最後は喧嘩のような議論もするが首相就任直後にはブレアはありの会議でフランス語で演説もしたりして、フランスとの関係をよくしようと努めていた。

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