過去からの行進(下)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000258357

作品紹介・あらすじ

かつての拷問官は、七年後、外交官として韓成三の前に現れた。東京のホテルの喫茶店で、怯えて前に座る韓成三に、その外交官は、在日の作家・金一潭の韓国訪問工作に協力するよう命じる。「お前は忠誠国民を誓ったはずだ」-。拷問に屈服して以降、魂の抜けたように生きてきた韓。恐怖と復讐への思いで街を彷徨う彼は、このとき、一つのことを決断する。名作『火山島』の作者が描く、人間「復活」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 正直なところ、このドロドロ感は、朝鮮人特有なものなのかなと思います。
    それだけの怨念を持つような歴史や事件が、あるんですね。
    その事件の中でも、中核をなしているのが済州島事件というものらしいです。
    この本を読むと、韓国の人たちも、同じ民族内の話であるにせよ、相当にひどいことをやっているようです。

    でも、我々日本人は中国の歴史に比べると、本当に朝鮮の歴史というものを知らないなあ、と感じさせられました。
    一番近い国なのに・・・

  • 北朝鮮系在日の高在洙と、作家の金一潭(キムイルタム)のからみもなんとなく明るい感じでおもしろい。そして、南山で拷問した尋問官が韓国領事として東京にやって来て韓成三に面会を求めてくる。このあたりも緊張感たっぷり。最後は「復讐」だ。
    今のチェジュドはリゾート島だが、昔ものすごい虐殺事件があったとは。Wikipediaで調べたところ、島民の5人に1人にあたる6万人が虐殺されたとのこと。東日本大震災どころではないわな。

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著者プロフィール

1925年生まれ。小説家。「鴉の死」(1957)以来、済州島四・三事件を書きつづけ、1万1000枚の大長編『火山島』(1976~97)を完成。小説集に、『鴉の死』(新装版1971)、『万徳幽霊奇譚』(1971)、『1945年夏』(1974)、『遺された記憶』(1977)、『幽冥の肖像』(1982)、『夢、草深し』(1995)、『海の底から、地の底から』(2000)、『満月』(2001)、『死者は地上に』(2010)、『過去からの行進』(2012)など。『火山島』の続編『地底の太陽』(2006)に続き、2019年に続々編「海の底から」の連載(岩波書店『世界』)を完結。その他に『満月の下の赤い海』、『新編 鴉の死』(共にクオン 2022)。評論集には、『ことばの呪縛――「在日朝鮮人文学」と日本語』(1972)、『民族・ことば・文学』(1976)、『「在日」の思想』(1981)、『故国行』(1990)、『転向と親日派』(1993)などがある。

「2023年 『金石範評論集Ⅱ 思想・歴史論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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