「連動」する世界史――19世紀世界の中の日本 (シリーズ 日本の中の世界史)
- 岩波書店 (2018年11月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000283847
感想・レビュー・書評
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日本史でも世界史でも、アジア史でも欧州史でもない。19世紀から20世紀初頭まで、日本を含む世界各国・地域の連動を描く。通史の概略は予備知識としてあったが、視点が新鮮だった。
欧州内部が緊張したり他の地域(アフリカ)に目が向いていたりする時は東アジアへの干渉が弱まる。又はその逆も。幕末日本は世界情勢に無知で砲艦外交で不平等条約を結ばされた、というのは明治の権力者が作り上げたストーリーで、幕府の外交能力は高かった。1856-57年は日本の「消極的開国」から「積極的開国」への転機で、以降は対外認識を深める。
明治維新からの変革は自由、民権、主権など世界の傾向の「土着化」。世界史から見る日清・日露戦争や日英同盟の意義。明治期日本は、露の動きを測る上でバルカン情勢に多大な関心。日露戦争後は、帝国主義の時代の「傾向」を実践。
また、19世紀前半のオスマン帝国支配下からの諸民族独立をめぐる足の引っ張り合いを「バルカン化」と定義し、中華秩序動揺からの東アジアをこれになぞらえているのも特徴。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふむ
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東2法経図・6F開架:209.6A/Mi37r//K
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世界史が面白いと久しぶりに思った。
それぞれの国の歴史を並べるのではなく、各国の動きが連動する19世紀世界。本書で読む列強の「グレート・ゲーム」は、まるで迫力あるRPGのようである。
まだまだ歴史は掘り下げられると感嘆した。こういう本がもっとあれば世界史嫌いの学生も減ると思う。