人間晩年図巻 1995-99年

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000611404

感想・レビュー・書評

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  • 関川夏央、「人間晩年図巻」の2冊目。本巻は2016年6月の発行で、1995年から1999年に亡くなられた方についての紹介。
    1995年は阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きた年だ。1990年代初頭にバブルが弾けて、日本では低成長が続いていた。当時はそれでも、それは景気循環の下降局面であり、いつかは景気は回復するであろうと見られていたが、そこから約30年間近く、日本の経済は低迷を続けている。
    個人的には、私の30代。1995年には、子供2人は小学生。任される仕事の範囲も広がりつつあり、生活は充実していたと言える。

    本書で紹介されているのは、35人。
    例えば、テレサテン、横山やすし、司馬遼太郎、渥美清、鄧小平、ダイアナ妃、村山実など。
    司馬遼太郎の「坂の上の雲」に心を動かされたり、テキ屋の寅さんの自由気ままな人生を羨んだりしたことが思い出される。
    そういう意味では、本書は亡くなられた方々を紹介する本であると同時に、読者が自分の人生を振り返る本でもあるのだと思った。

  • 私としてはシリーズ4冊目。なんだか面白くて読むのをやめられなくなった。

  • 晩年を中心に描いた評伝集。天下一下の会の内村健一からポルポトまで、幅広い人選が魅力だ。面白かったのは、テレサ・テン、萬屋錦之助、ダイアナ・スペンサー、金杉忠男、大津高幸、村山聖など。後書きにもあったように1995年は阪神大震災、オウム真理教事件が起きた年、それからの5年間に亡くなった人たちは、歴史の転換点を生きたのだ。

  •  山田風太郎「人間臨終図巻」の衣鉢を継ぎ、現代史へシフトした「人間晩年図巻」。三島由紀夫賞の授賞式で「私(関川)は、たまたま江藤淳の真後ろに座っていて」という「江藤淳」の回は臨場感がある。「人間臨終〜」でいうと「江戸川乱歩」の回にあたるだろう。
     初読が2018年晩秋。僅々2年半の間に自分も老いた。再読した今、物故者の晩年がロールモデルとして身に迫ってくる。

  • 山田風太郎「人間臨終図巻」の続編を意識して書かれた本.
    山田本が死んだ年齢順でソートされている一方でこの本は死んだ年の順.
    作者によればそうすることによって,この 1990年代の世相を浮き上がらせたかったとのこと.それはある程度成功しているのではないか.
    山田本と文体まで似ていると思うけれど,大きく違うのは登場する人物たちへの作者のコミットが大きいところ.山田はドライな客観的な視点が多かったが,著者と同時代に生きた人たちに対する視線はかなりの批評を含んでいると感じた.
    続編も岩波の web マガジンで連載中.まとまったら読ませていただきます.

  • もうひとりのシベリア天皇 袴田陸奥男
     日本共産党幹部袴田里見の弟

    55年生まれでソ連邦崩壊後のロシアで自由主義の旗頭の一人と目されたイリーナ・ムツオヴナ・ハカマダは袴田の娘
    陸奥男の出生前に生まれていたロシア学の袴田茂雄青山学院大学名誉教授は、イリーナの異母兄にあたる

  • ノンフィクション

  • 臨終図鑑の続きを切望していたので、この企画はありがたい!山田版と比べると犯罪者成分や皮肉な言い回しが足りないなど感じるが、よくぞ作ってくださったという感謝の念の方が大きい。山田康雄とか勝新太郎とか興味深い方々も収録されている。

  • <目次>
    1995年に死んだ人
    1996年に死んだ人
    1997年に死んだ人
    1998年に死んだ人
    1999年に死んだ人

    <内容>
    『人間晩年図巻』第2弾。20世紀の最後に死んだ人たちの生きざま、死にざま。、さまざま。
    逗子市立図書館

  • 1995年、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件がありました。そして、ネットが普及し、紙の文化に翳りが出始めた頃でしょうか。関川夏央 著「人間晩年図巻 1995~99年」、2016.6発行です。テレサテン(42)、横山やすし(51)、司馬遼太郎(72)、渥美清(68)、藤沢周平(69)、萬屋錦之助(64)、勝新太郎(65)、ダイアナ(36)、村山聖(29)、村山実(61)etc。みなさん、早逝ですね。萬屋錦之助は多病多婚(有馬稲子、淡路恵子、甲にしき)。中村玉緒は、あの世へ行っても夫が恥をかかないようにと棺の中に五百万円を入れた。村山聖へのアンケート:今年の目標は?「生きる」、好きな言葉は?「土に還る」、そして、最後の言葉は「・・・2七銀」。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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