- Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000613736
作品紹介・あらすじ
簡単に一つのことだけ書く文章とはどういうものだったか.それを私は思い出そうとしている.私は誰か.何が,その問いの答えなのか.大きな字で書いてみると,何が書けるか.――発病後も書き継がれ,その死によって幕を閉じることとなった連載「大きな字で書くこと」(『図書』)を中心に,惜しまれながら急逝した著者が遺した最後のことばたちを収める.
感想・レビュー・書評
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亡くなった加藤典洋さんの絶筆。自分自身の「小さな」出来事を「大きな字で書くこと」が病に倒れた批評家の最後の仕事だった。「戦争を知らない子供たち」がたどった戦後という社会を浮き彫りにしていくはずだった自画像の制作は志半ばで「強制終了」させられている。ただただ著者の無念を思う。
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たくさんの人が出てきたので、ネットで調べながら読んだので時間がかかった。
加藤典洋さんがお亡くなりになってもう4年も経つのか。高橋源一郎さんとの対談を聞きに行くのを楽しみにしていたら、体調不良で中止になった。まさかそのままお亡くなりになるとは思っていなかった。
連載の初めにはご自分でも想像しておられなかったと思うが、最後に、私程度の頭の者にも読みやすく、親しみを感じさせるような、それでいて考えさせられる文章を残してくださった。 -
2022.4.19市立図書館
津野海太郎「最後の読書」からの芋づる式。「かれが最後に書いた本(つづき)」の項で、池内紀とともにとりあげられていて、読みたいと思った。文芸評論の仕事(賛否があったらしい)についてはあまりしらないけれど、この晩年のコラム(岩波書店PR誌「図書」と、信濃毎日新聞に連載)にはいい言葉がたくさんあった。それを知れただけで十分よかった。
闘病しながら、自分のなかに二つの場所を持ち二人の感情を持つこと、そして自分の中でキャッチボール(感情の対流・対話の場)ができることこそが人間にとっていちばん大切だと最後に言い残しているのが忘れがたい余韻となっている。 -
考えることとは何か、筆者の晩年の考え方が知れてよかった。
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著者による『敗戦後論』、個人的にはたいへんに読みにくく、その主張するところもほとんど理解できなかったのは、著者が言うところの「小さな字」で書かれていたからだ、とわかった。
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父親との関係性や自分のや生い立ちがその後に関連していることなど、人は皆こういうところがあるのではないかと思いながら読んだ。
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図書館で借りて2回読んだ
竹田青嗣の本を読もうと思ったのもこれがきっかけ -
著者の遺著となった著作。ゆるい感じの書き方だけど、年齢相応のものごとへの対し方、という点で学ぶところが多かった。構想していたことがいくつも形にならなかったことが返す返すも悔やまれる。
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加藤典洋という人がはじめてわかったという感覚と、結局よくわからない感覚の入り混じる読後感。