- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000614733
作品紹介・あらすじ
黒人文学・文化研究の第一人者であり、岩波文庫『風と共に去りぬ』の訳者でもある著者による、アメリカ文学・社会論。南北戦争による社会の分断と、激動の戦後を描く壮大な「アメリカン・サーガ」を、主人公スカーレットの背景や、アメリカ黒人史、分断と一体化といった視点から多角的に読み解く。文庫解説に新章一章を加筆。
感想・レビュー・書評
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マ-ガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』の翻訳(岩波文庫全6巻)をしたアメリカ文学と文化研究者<荒このみ>女史が、南北戦争による社会の分断、価値観の変貌、移民史、黒人史、先住民史を読み解きながら、通俗小説ならぬ壮大な歴史ロマンス<アメリカン・サーガ(叙事詩)>と位置づけた小説の光と影に迫った硬派の研究書。南部に生まれ育ったミッチェルが作品で描き出したかったのは、南北を分断した歴史的出来事を背景に、南北の格差社会に生きる、ひとりの<アメリカの女>の姿であったと読み解かれている。
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大久保・竹内訳で「風と共に去りぬ」に親しんでいた派ですが、荒このみ氏の訳本でも久しぶりに読んでみたいなと思いました。
多々の参考文献で現れる、南北戦争当時のアメリカの歴史背景、作者ミッチェルの人となりや周囲との関係、そして、「風と共に去りぬ」の文学的な立ち位置や表現し得るもの。「タラへの道」を読んだ私などにはとても興味深い読書でした。 -
岩波文庫の新訳版「風と共に去りぬ」の翻訳者である荒このみ氏が、全六巻の各巻に書いた解説をまとめ、更に第一章を書き足して一冊の本とした。
新潮版の鴻巣友季子氏が「謎とき『風と共に去りぬ』」でマーガレット・ミッチェルのその文体に注目して語ったのに対して荒氏は南北戦争に至るアメリカ南部の歴史、スカーレットの父ジェラルドがアイルランドからの移民である事、母エレンがフランス系アメリカ人である事、乳母のマミーが肌の色が真っ黒な黒人であるとわざわざ書かれ、オハラ家に混血(ムラトー)の奴隷が登場してこない理由、それぞれの設定に隠された歴史的な意味などを詳しく解説する。
それは日本人には馴染みがないが、「風と共に去りぬ」が書かれた1930年代のアメリカ人ならそこから読み取ったであろう事を教えてくれる。
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2022.04.01 図書館
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岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
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黒人文学・文化研究の第一人者であり、岩波文庫『風と共に去りぬ』の訳者でもある著者による、アメリカ文学・社会論。南北戦争による社会の分断と、激動の戦後を描く壮大な「アメリカン・サーガ」を、主人公スカーレットの背景や、アメリカ黒人史、分断と一体化といった視点から多角的に読み解く。文庫解説に新章一章を加筆。
(出版社HPより) -
米国文学の名作『風と共に去りぬ』の解説書。『風と共に去りぬ』が「ポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的に正しいこと)の立場からふさわしくないと、十分に読まないままに批判し、否定している」ことが批判される(239頁)。日本でもブラック企業批判に対し、ブラックは黒人を意味し、人種差別になるとの的外れの批判がある。