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- Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000918428
感想・レビュー・書評
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『物語と人間の科学』(岩波書店、1993年)のほか、11編の論考を収録しています。
『物語と人間の科学』は、隠れキリシタンのあいだに伝えられた教えや『日本霊異記』などを参照しながら、物語のなかに現われている人間の真理に迫る試みです。著者は、哲学者の坂部恵や中村雄二郎が「語り」について論じていることなどを参照しながら、自然科学的な知とは異なる、人間的な知の領域が存在していると主張します。そのうえで、日本人と西洋人の心理の違いや、男性性と女性性の問題などに立ち入って考察を展開しています。
また、著者とユング心理学との出会いについて語った文章などもあり、興味深く読みました。著者は、戦争中の体験などを通して、西洋の科学的・合理的な思考に深い信頼を寄せるようになったといいます。しかしその後、ユング心理学に出会うことによって、しだいに著者は自然科学の合理性とは異なる知のあり方に目を見開くようになったことが語られています。
そのほか、生態学者で日本のサル学を世界レヴェルにまで押し上げた今西錦司についての回想も、おもしろく読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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