- Amazon.co.jp ・本 (43ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001105650
感想・レビュー・書評
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スイスでは子供向けのお話の古典であるらしい。
そう言えば「ちゃんとおとうさんをてつだって、小さい下男みたいにはたらきます」という描写など、やや古めかしい。
その手伝いというのも、家畜のお世話や「天秤棒をかついで水を汲んでくる」とか、ほとんど「ハイジ」の世界。
でもこのお話の普遍的なところは、子どもの成長について温かい目戦で描いている点。
アロワ・カリジェの挿絵は、荒削りのようでいて、スイスの暮らしの光景や衣装・風俗をしっかり伝えてくれる。ウルスリの家の木製のドアとドアノッカーなど、とても味わいがある。
スイスの高い山々のすそ野に住む少年・ウルスリ。
明日は村の広場で「鈴行列」という春を呼ぶお祭りが開かれる。
ウルスリの望みは、一番大きな鈴を持って列の先頭でその鈴を鳴らすこと。
ところが男の子たちの中で一番小さかったので、一番小さい鈴しかもらえず、悔し涙にくれるウルスリだった・・
子ども時代に味わった悔しい思い出を、誰しもが振り返ることだろう。
ひと一倍どんくさかった私など、一度や二度どころか、三度も四度もある。
でもその時どうしたかと言うと何も記憶がなく、たぶん何もしなかったのだろうというところに落ち着く。今でも苦い思い出になっているというのは、そういうことだ。
ウルスリは違う。こぼさず、くさらず、必死になって「どうしたらよいのか」を考え続ける。
そしてこんなに小さいのに望みを達成するのだ。それも自分ひとりの努力によって。
いやもう、ここが本当にすごいのだ。たとえお話の中のことであっても、全力で応援してしまう。
帰らないウルスリを探し続け、夜通し待ち続ける両親の姿も丁寧に描かれる。ここは涙もの。
そして、帰ってきたウルスリを決して叱ることなく抱きしめるお母さんが、何しろ素敵だ。
ラストはもちろん大団円だが、ここまで読むと約20分かかるので読み聞かせは難しいかな。
でも小さな子から大人までお薦めのお話。
さすが古典。長いこと伝え続けられて来たお話の良さをじっくりと味わった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「フルリーナと山の鳥」と同じコンビ。こちらの方が初期の作品です。アロワ・カリジェの絵は子どもの低い視線で描かれているのに気づく。例えば山のてっぺんにある小屋。ウルスリが生き生きと。
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子供ながらの「見栄」とちょっとした冒険な話
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子供のころ誕生日かクリスマスのプレゼントに買ってもらった思い出の本。
子どもの本原画展で作品を見てなつかしくなりました。
カリジェゆかりのスイスの村に行きたい私です。 -
カリジェの故郷の村には、家々の壁に彼の絵が描かれているそうな。
行きたい〜!! -
「アルプスの山おくに元気な男の子ウルスリが住んでいます.
明日はすず行列のおまつり.村の男の子たちは,牛の首につけるすずを鳴らして冬をおいだし,春を迎えます.ウルスリはいちばん大きなすずを手に入れて,先頭に立ちたいとはりきります.ロングセラー絵本を改版,美しい絵本があざやかによみがえります.」 -
ひとりで行動してしまう!冒険です!
子どもにとって夜を越えるのは大変な事です
雪の描写がいいです
わかる自分がうれしい(^^)
兼高かおるの博物館に大きなカウベルありましたよ! -
ウルスリのがっかりした気持ち、年上の子らに馬鹿にされて哀しい気持ち、冒険したい気持ち…どれにも小さい人達は共感できると思う。
最後に行方不明から見つかった時、日本だったら涙涙でもがっつり叱られると思うんだけど、そこがカラッとしてるのがヨーロッパっぽいなぁ(?)と感じた。