グリックの冒険 (岩波少年文庫 45)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001140453

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  • シリーズ2冊目 「冒険者たち」はこちら
    http://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4001140446
    ★★★

    人間の家に飼われていたシマリスのグリックは、庭で出会った鳩のピッポーから聞いた「北の森」の話心を奪われる。
    「広くて高い木が豊かに繁り、森の中の草原には色とりどりの花が咲き乱れ、その香りでむせそうなくらい。小鳥は鳴きかわし、蝶は飛び、森を流れる谷川は青く澄みきり、岩陰からはイワナが覗いている。
    なんといっても君と同じ仲間のシマリスが何百匹、何千匹もいる。楽しそうに草の上を走り、高い木に軽々と上り、枝から枝へ自由に跳び移る。
    胡桃やアケビや栗の実をたっぷりと食べ、踊るように飛び回っているんだ」

    グリックの心は波たつ。そうだ、そここそが僕のうちなんだ。こんな狭い人間の家の応接間と籠じゃなんだ。

    必ず森へ行くというグリックにピッポーはその困難を説く。

    「まずはこの家を出て、道路やビルを超えて町を抜け、それから畑がずっと続き、その次にはけっこう高い丘、それからまた畑があり、大きな川が流れ、その川は小さな川をみんなのみこんで海へ続く。海岸をずっと北に行くと山があり、その山を越えるとやっと北の森」

    だがグリックの心は抑えられない。
    かならず行く、森へ、ぼくのうちへ。

    ついに人間の家を逃げ出したグリック。
    町では冒険ネズミのガンバとその15匹の仲間達とネズミ同士の抗争に加わり、
    自由に生きることへの憧れを増す。
    動物園ではメスシマリスののんのんと知り合い旅を共にすることに。
    2匹の旅は、キツネやタカに狙われ、川を船で流され、雪嵐の山で凍えそうになり…
    しかし2匹の決意は変わらない。
    必ず北の森へ行く。自分のうちへ。

    ★★★

    「冒険者たち」を読んだらガンバと15匹の仲間達の前後作があったのでまずは1冊目を借りてみた。
    これまた6歳の次男に私が音読、時間がかかった~~、しかしこれから借りる3冊目が一番長そう~~(苦笑)
    グリックの話は作者が20代後半で飼っていたシマリスが逃げ出したことから描くという衝撃に突き動かされ…ということで、
    グリックの旅の道も作者の故郷への道筋をモデルにしているということでかなりの臨場感があります。
    そして、ガンバの時系列でいうと、「冒険者たち」で白イタチのノロイとの対決後のようですね。
    その後彼らは「気の向くまま足の向くまま、今日はここ、明日はあそこ、明後日は知らない」で世界を冒険したりきままに旅したりネズミ界で名を挙げ、今回は雇われ傭兵としてわざわざ呼ばれたらしい、なんかクールでノロイと対決してた頃からかなりプロになってますね。

  • グリックがフラックと別れた時が衝撃的だった。

  •  小学3年生の頃、国語の授業で毎回少しずつ先生が読み聞かせてくれ、大好きだった本。特に中盤のドブネズミとクマネズミの戦いに、ドキドキハラハラしながら聞いていたことを思い出す。ペットとして飼われるシマリスのグリックが、仲間がたくさん棲む北の森へ数々の試練を乗り越えて進む姿にグッとくる。私にとって思い出深い作品。
     また、薮内さんの描かれるリアルな動物の挿絵がとても素晴らしい。図鑑の挿絵画家もされていたらしく、キャラクターじみていない挿絵がストーリーで描かれる過酷な現実とも非常にマッチしている。

  • 人の気配はあるけれど出てこないのがいいなあ。
    自然の過酷さ野生の厳しさがとても現実アジしか感じられなくて、生きれるの…?行けるの…?とはらはらしっぱなし。
    グリックとのんのんが辿った道のり歩いてみたいな。
    1ヶ月半という距離。秋から冬へ変わる気温の差に雪山越え…わたし、行けないかも…
    行きなさい!と強すぎる程に言った姉さん。のんのんが自分がいなければもっと早く着いたかもしれない、の気持ち。一人では辿り着けなかったよ、と言うのを今じゃない、と着いてからと思うグリックも、待っていてくれたピッポーも
    最初から最後まで胸が熱かった。
    前に読んだのいつだったかな、その時よりさらに好きになってる。

  • 久々に児童文学を読みました。筋としてはとてもシンプルですが、最後までハラハラドキドキしながら読みました。

  • 「冒険者たち」、「ガンバとかわうそ」を読んでいたので楽しみにしていた。ガンバがいつ出てくるのかなーと思ったら、結構序盤で出てきた。ネズミたちの戦いに巻き込まれて、どうなるのかなと思ったけどなんとか乗り切って、ガンバに案内してもらって旅もかなり楽勝と思ったら、連れてこられたのは動物園。ガンバもこの時、まだ外の世界を知り始めた頃だもんね。そして、ここでのんのんと出会い、いよいよ北の森を目指す。始めのうちは台風にあったり敵にあったりで困難はあるけど順調に旅をしてる。だけどだんだん寒くなり旅も厳しさを増してくる。船に乗り込んだ時は絶対そうなると思った。ここら辺から読んでいて苦しい、、山越えはもうピーク。あと少しで読み終わると頑張ると、最後はピッポーよくやった!お姉さんが亡くなっていたのは悲しかったけど、冬越えの準備もされていてよかった。

  • ガンバの冒険を子どもたちとアニメで見たものの、この作品が原作者の処女作だとは知りませんでした。

    家や動物園で飼われていることの安全の反対にある自由。
    「ながいながいペンギンの話」と同じく、飼われている生き物の気持ちについて考えさせられました。

    足をケガしていたらたどりつけないはず、戦った相手がタカに襲われる、など、運がいいでは語れない物語、ガンバにしてもハトのビッポーにしても、命を助けてもらったことへの恩返しの気持ちがここまでとは、と。

    ガンバが動物園を「きみのうち」だと思って連れて行ったのは、ちょっとおもしろかったです。

  • ガンバの冒険は、子どもの頃に大好きだった。こっちが最初の本で、やっぱり、挿絵と一体での本です。

  • 冬山を登るというのにほぼ何も準備も計画もなくなんて、どういうことやねん。というツッコミはあれども、やっぱ毛皮を纏っているというのは強い。しかもそこらへんで飯も調達できるし、草食動物って最強だよな。でも食われちゃうから、なかなか難しい。
    最後の結末はまぁそうなるよね、とは思ってたけど、眠気に耐えきれなくなったところで切ない展開だったら泣けるかも!とも思ったよ。やっぱ子供向けかー、と思ったら最後の二人の会話がおまえらやることやってんのかよいつの間にか、ていう意味深っぷりで、好き。

  • どうして子どもにこんな辛いばかりの話読ませなきゃならんのだ、と思うが、かといって大人が読まなきゃならんものでもない。

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著者プロフィール

斎藤惇夫 1940年新潟市生まれ。小学校一年から高校卒業まで長岡市ですごす。長年子どもの本の編集に携わり、現在は、著作と、子どもの本の普及活動を続ける。著書に『グリックの冒険』『冒険者たち』『ガンバとカワウソの冒険』『哲夫の春休み』(以上、岩波書店)、『おいで子どもたち』(日本聖公会)、『現在、子どもたちが求めているもの』『子どもと子どもの本に捧げた生涯』(以上、キッズメイト)、講演録に『わたしはなぜファンタジーに向かうのか』(教文館)などがある。

「2017年 『河童のユウタの冒険(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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