まぼろしの白馬 (岩波少年文庫)

制作 : ウォルター・ホッジズ  Elizabeth Goudge  石井 桃子 
  • 岩波書店 (2007年1月16日発売)
4.13
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  • 17レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001141429

作品紹介

古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアは、館にまつわる伝説に興味をいだき、その謎を解こうと大はりきり…。活発で明るいマリアは、暗い館の生活を一変させ、周囲のおとなたちを事件にまきこみます。ロマンチックな物語。小学5・6年以上。

まぼろしの白馬 (岩波少年文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 毎年、新年最初の本はその年の干支にまつわる本を読むことにしています。
    2014年は午年。
    そこで、宮崎駿さんが『本へのとびら』(岩波書店)で紹介されていたのを読んで以来ずっと気になっていた本書を、今年最初の1冊に選びました。

    主人公のマリア・メリウェザーは13歳。
    父母を亡くしたマリアは、小さなころから面倒をみてくれているヘリオトロープ先生と一緒に、シルバリーデュー村にあるムーンエーカー館に移り住むことになりました。
    まるでお城のような大きな館でマリアを待ち受けていたのは、いくつもの謎と心おどる冒険でした。

    マリアは頭がよくて勇気もある女の子です。
    シルバリーデュー村のみんなが幸せに暮らせるようにすることが自分の使命だと感じ取り、そのためにどうしたらよいか、ちゃんと考えて行動できるのですから!
    少し生意気そうなところが、より彼女のかわいらしさを引き立てているのです。

    ムーンエーカー館での暮らしに憧れてしまいます。
    はじめてもらった自分だけの部屋は、大人は通れない女の子サイズの小さなドア。
    朝起きるといつの間にか服がきちんとたたんで用意されており、一緒にみずみずしい花束が添えられている。
    テーブルにはおいしそうな出来たての食事が並ぶ。
    小馬のペリウィンクル、犬のロルフ、猫のザカライアといったびっくりするほど賢い動物たち…
    すてきなところを数え始めると切りがありません。

    子供のころに読んでいたら、もっと夢中になっていたと思います。
    女の子の憧れがぎっしりつまった、きらきらした1冊です。

  • 児童文学の名作。
    内容を忘れたので、再読。
    大人にも読める描写を含んだファンタジックな内容。

    マリアは父親を亡くして、遠縁の従兄にひきとられることに。
    母を早く亡くし、赤ちゃんの頃から家庭教師のヘリオトロープ先生に育てられた。
    ずっと一緒だった先生も同行するので、そんなに寂しくはない。
    ヘリオトロープ先生は厳しいが、マリアを素晴らしい女性に育てようと決意しており、マリアは信頼しきっているのだ。
    ロンドンで知り合った男の子ロビンと会えなくなったことは気になっていたが。

    岩の中に入っていくような構造のわくわくするような面白い荘園に、塔の中にある可愛い部屋。
    荘園領主ベンジャミン・メリウェザー卿は中年で従兄というよりは伯父だが、見るからに温かい人柄。
    マリアが朝起きると、綺麗な乗馬服が出されていたり。誰が世話してくれているのかすぐにはわからない不思議な生活。

    まだらの小馬ペリウィンクルに乗って見て回った自然が美しい外の光景と、海辺で見えた一瞬の幻。
    マリアが連れてきた犬のウィギンズ。館を自由に歩き回る猫のザカライア。マリアが罠から助けたウサギのシリーナ。としだいに仲間も増えていきます。
    門番の女性ラブデイは、マリアが夢見た母親のよう。
    咲き乱れる花や、美味しい食べ物。
    料理は、台所を仕切っている小柄な老人マーマデュークが作っているとわかる。

    フサフサのたてがみのある黄色い大きな犬・ロルフ。
    ロルフと一緒ならマリアはどこに行っても良いが、海にだけは近づいてはいけないと言われる。
    海で魚を捕るのは、森に住む「黒い男達」が独占しているのだ。
    彼らはメリウェザー家の先祖ロルフと仲違いしたノワール卿の子孫らしい。
    村の牧師と、再会したロビンから話を聞き、メリウェザー家の先祖が引き起こした争いが今も尾を引いていることを知ったマリアは…?
    13歳の少女が勇気を奮い起こします。

    1946年に、およそ100年前の1842年の話として書かれたので、古風な所はあります。
    それもまた魅力。人の心に普遍的に訴えかける物に満ちていますね。
    過去の争いも悲しみも洗い流され、皆が上手くいく心地良い展開。
    挿絵はディケンズ風の衣装。
    巻き毛とふくらんだスカートとボンネットが可愛い。

  • イギリス南西部、デボン州に住むようになって、作者エリザベス・グージは妖精の存在を信じられるようになったという。森と入り江に囲まれ自然に恵まれた土地のその伝承と自らが見た夢から、この話が生まれたという。海の泡から現れる白馬の言い伝えを、伝説にはお馴染みのユニコーンとしている。
    美しくも影を伴い、不思議で、深遠な自然の伝承。そこに明るく才気煥発な少女マリアの物語が見事にあいまって、とても面白くて、ロマンティックな世界が楽しめる。
    ファンタジックな面だけでなく、リアリズムも感じさせるのは、マリアや登場人物たちの頼もしくたくましい気質によるものが大きいのかもしれない。
    ウォルター・ホッジズの挿絵によく表れているけれど、こういう古めかしくも落ち着きのある魅力的な雰囲気、結構、好きかも(笑)

  • 正統派の良い物語(^^;。
    治まるべきところに、すべて治まる。

  • 主人公の少女やお相手の少年、登場人物が魅力的なのはもちろんのこと、スパニエル犬、猫、犬、子馬、獅子、うさぎといった主人公の周りに居る動物が、あたかも人間かのようにのびのびと個性をもって動く様、自然が意志をもっているかのように描写されているところにも、このお話の面白さがあるのかなと思いました。訳者の石井桃子さんの訳が本当に素晴らしい。本の中に自分の世界を見出す少女が心に住んでいる皆様、ぜひお読みください、ロマンスあふれる世界がここにはあります。世界が一瞬、素敵なピンク色に染められます。

  • ほら、この本はさ、
    先日読んだ、「短篇小説日和」の中で
    最高に面白かった「羊飼いとその恋人」、
    その作者の方の作品って言うんで、
    探し当てて読んでみました。

    こんなにこんなにすべすべと上手く行くお話かあ…と
    思いながら一方で、

    もし、私がまだ小学校三年生以下なら、
    この世界にどっぷりと言う音がするほど
    はまっただろうな、と。

    素敵な謎めいたお屋敷とか、
    ミステリアスな登場人物とか、
    綺麗なお洋服とか、美味しいご馳走とか、
    動物との交流とか、運命とか宿命とか、

    夢と希望が溢れている小さな娘さんだったら
    もう、フルコースって感じ。

    主人公の性格がなんとなくはっきりしなくって
    感情移入しにくいなあと思ったけれど、

    逆に小さい娘さんが読んだら
    活発な子も、内気な子も、
    「これは私」と思えて良いのかも、なんて思った。

  • 「やせていて青白くてソバカスがみっともなくて美しくない」主人公のマリアは、でも、とても凛として美しい少女。
    描写も美しくロマンティックで、ホッジスの挿絵も素敵。

  • ファンタジー? 不思議な雰囲気のお話。女性的。

  • 暖炉にりんごの木を燃やしてお部屋をいい香りに、ベッドはラベンダーの香り、朝露に濡れたスノードロップの花束、マリーゴールド色のバター、ユニコーン、お茶会のフェアリーケーキ、暮らしをピンクで彩る、野うさぎ、焼きリンゴにハチミツ、よそ行きの街頭にすみれの花束、乙女心をくすぐる物語。

  • ロマンチックな女の子向けファンタジー。
    美しくない女の子が孤児になって、地方の領主である遠い親戚の所へ行く。そこには美しい風景と、奇妙な召使いと、家にまつわるなぞがある。
    これだけ書くと「秘密の花園」みたいだけど、あれよりも幻想的でファンタジック。
    宮崎駿がこの作品が好きだと言っていたけど、よくわかる。少女の成長、謎と歴史でできた古い城、異形の者たち、特別な能力のある動物など、ジブリアニメでなきゃおかしいくらいの設定で、(もちろんこの本がずっと古いわけだから)、こういう児童文学が宮崎駿の血肉となったのであろうことは想像に難くない。
    だから、宮崎作品が好きな人はすごく楽しめるだろうし、そうでない人も、本当によくできた作品だし、ディテール(身につけるものや料理や自然の風景)が素晴らしいうえ、完璧なハッピーエンドなので、読んで厭な気持にならない。
    エリザベス・グージの作品で翻訳で読める作品をこれ以外に知らないが、人生に一冊、こういう本が書ければ幸せだろうな、と思う。

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