科学と科学者のはなし: 寺田寅彦エッセイ集 (岩波少年文庫 510)
- 岩波書店 (2000年6月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001145106
感想・レビュー・書評
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夏目漱石を師と仰いだ寺田寅彦のエッセイ集。
図書館で借りた。
少年少女向けの本なので字が大きく読みやすかった。
本業は物理学者であったから、科学に関するエッセイが主。満員電車に関する考察や蓑虫に関する考察など、身近なものごとを科学的に考えたエッセイで面白かったが、やはり夏目漱石にまつわるエッセイが一番興味を引かれた。 -
大好きな本です。岩波少年文庫の一冊ですが、私の愛読書のひとつです。科学が身近なもので、科学的なものの見方を易しく語るように紡ぐ、寺田寅彦氏の文章は俊逸です。
目の前の湯呑茶碗から上がる湯気の話が、気候や自然現象へと導く『茶碗の湯』。「天災は忘れたころにやってくる」は寺田氏の言葉だといわれているらしいが、その由来とも思われる『津波と人間』は、災害国家・日本に忘れてはならない警鐘の一文です。
特に大好きなのは、『夏目漱石先生の追憶』です。漱石がまだ教師だったころの生徒として出会った寺田氏が、漱石との思い出を綴ります。
夏目漱石という人の人柄が偲ばれる作品ですが、なにより文人・夏目漱石と科学者・寺田寅彦の教師と生徒の関係が生涯に及び、そこにあるほのぼのとした関係に、毎度、目尻に涙が浮かびちょっと優しい気持ちにさせてくれます。
そして、この本を読むたびにこんな随筆が書けたら・・と思うのです。 -
電車の話、面白かった
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1世紀前に書かれた科学者のエッセイとしては親しみやすくも、現代に置いても老若男女に響く種々の命題を見つめている。
満員電車の話などウィットに富んだ考察は面白く、津波への警鐘は、人々の意識が危機に対して依然として識者からは弛緩したものに写っているのか。 -
「科学者とあたま」は、覚えておこう。
それにしても、『先生と僕』のおもしろい寺田寅彦イメージがあるので、読んでる最中あのキャラクターが出てきて困った...
3.5 -
◎信州大学附属図書館OPACのリンクはこちら:
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA47367909 -
正直苦手なタイプの本。
あまり専門的なところはふんふんと読んでスルーしたけど、夏目漱石先生とのエピソードはとても楽しく読めた。
夏目先生のことがホントに好きなんだなあって感じられる。
明治時代のザ・エリートの人たちの日常ってどんなんでしょうねえ。
でも寺田さんの好奇心てホントに日常生活にあるから今も読まれているんだよね。この本が100年ぐらい前のことを書いているとは思えない。
三陸地方の地震の話は胸がいたい。これからも地震は起こるんだろうね・・・日本のどこでも。 -
「身近なできごとに”科学”をみつける
電車の混雑には法則があるか? 虫たちはいったい何を考えているのか? 身近な自然や世の中の出来事を,細やかに観察しながら書きつづった明治の物理学者による科学エッセイ.」
もくじ
Ⅰ
瀬戸内海の潮と潮流
茶碗の湯
夏の小半日
蜂
蓑 虫
新 星
電車の混雑について
Ⅱ
塵埃と光
言語と道具
解かれた象
花 火
線香花火
金 米 糖
雅 楽
化け物の進化
Ⅲ
風呂の寒暖計
こわいものの征服
夏目漱石先生の追憶
思い出草
金 曜 日
藤 の 実
身長と寿命
Ⅳ
津浪と人間
涼味数題
科学者とあたま
音の世界
匂いの追憶
草をのぞく
人魂の一つの場合
昼 顔
のうぜんかずら
Ⅴ
蓑虫と蜘蛛
蜂が団子をこしらえる話
鳶と油揚
冬夜の田園詩
蛆の効用
と ん ぼ
ほととぎすの鳴き声
解 説……池内 了 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/722659