フランバーズ屋敷の人びと 4 愛ふたたび(上) (岩波少年文庫 600)
- 岩波書店 (2009年12月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784001146004
感想・レビュー・書評
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かつて抱きしめてくれた男を再度心の拠り所にし、屋敷と人生を自分の手で動かしていく力を蓄えていくクリスチナ。
周囲の様々な声が聞こえてくる中、ディックを愛していると確信し、怪物(屋敷)に内包されながらも思い描いてきた家庭を形にしようと、彼を二人目の夫に望む。
農園と屋敷は、昔日の荘厳さをしのぐほどに整えられていく。
だが、屋敷を廻る人々の血は、反比例して濃く渦巻いていく。
憎しみ合う分だけ、激しい愛情に駆られてしまう。
男と女が見つめ合う時の昂ぶった息づかい。
児童文学と言うには、大人にはあまりにリアル。
身に覚えがありすぎて、余計入りこんでしまうのだ。
人は屋敷の駒に過ぎないのか。
運命の前にはひれ伏すしかないのだろうか。
屋敷に飛び込んでみたい方は是非。 -
1−3巻で一応完結していたのに、続編(4、5巻)を10年以上経ってから書いたらしく、読者の年齢も上がっていると考えたのか、1−3巻ではなかった、愛憎劇、三角関係なんてものが生々しくて、まるで昼メロ!
身分違いの結婚は、当人同士も結局苦しくなる、というおはなしです。 -
ディックと再婚したクリスチナ。でも階級の差は大きく、ディックは支配者階級になじむことができない。召使が主人であるディックを(もとは同じ使用人なので)ぞんざいに扱い、もう主人ではないはずのマークの無理難題には嬉々として従う。ディックの苦悩は深く、溜まりに溜まったストレスはクリスチナに向けられる。
いやあ、ホントに「少年文庫」に入れておくのはもったいない女性向きの小説です。
ディックを悪く書きすぎじゃないの?マークを魅力的に書きすぎじゃないの?クリスチナはどっちの男にもいい顔をして、ほんと、やな女だ、これじゃディックがぐれるのも仕方ない、など思いつつ夢中で読んだ。
今も残ると言われるイギリス階級制の厳しさにも思いを馳せる。
それにしても、ディックが可哀そう・・・。 -
すごいことになってます。
もはや、児童文学ではないです。この成長の仕方は、ハリー・ポッターといい勝負。
一気に読むシリーズではなくて、特にこの第4部は、大人になって読むもんだと思います。
どうしようもないことを包み隠さず書いている感じ。
今までは、クリスチナは感情に流されながらも正しいことを選択できていました。でも、それができなくなった時……。
どこに着地するのか?目が離せないです。 -
屋敷の主となったクリスチナは、使用人ディックと再婚した。戦時下の困難にもかかわらず、家庭も、農場も、すべてうまくいくかにみえた。
しかし、瀕死の重傷を負ったマークが屋敷に戻り、感情のもつれが生活をおびやかす。
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フランバーズ屋敷の4巻め!
相変わらず、巻をますごとに、ドロドロの昼ドラ展開になってきて楽しい笑
この作中の主要な人物でまともなのディックだけなんじゃないの…
ってくらいみんなイライラする笑
ディックの言い分ってすごくまともで、一生懸命働いて帰ってきたら、自分の家になったはずなのに、昔自分を雇っててしかも不当な扱いをされたムカつくマークが、自分の友だち集めてドンチャンやってて、自分の奥さんもまじってて、しかも夕食の準備できてないし、使用人は相変わらず自分をあ主として認めないし…
でて行きたくもなるわ!
マークはほんとに何がしたいんだ…と思うけど、何か憎めないよね…
あと「人間同士のあいだでむずかしいことがあったとき、心のなぐさめになるのは、いつも動物だ。」って一文にすごく共感した。