作品紹介・あらすじ
才能を見出されたキムは、優秀なスパイとして育てられ、大国の覇権あらそいのただなかに身を投じるが、一方でラマとの旅も再開することに…。少年の数奇な運命を描き、インドの豊かな風景と多彩な人びとを活写した、大河冒険小説。中学以上。
感想・レビュー・書評
絞り込み
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19世紀の英領インドで育ったイギリス人孤児キム。チベットからやって来たラマと知り合い、弟子として矢の川を探す旅に出る。
途中で英国エリートとして学校に通うが、クレイトン大佐や馬商人でスパイのマハブーブ・アリからスパイとしての才能を見いだされ、ラマとの旅を再開しながら、イギリスとロシアの覇権争いの中でのスパイ活動にも身を投じる。
スケールの大きな冒険譚&少年の成長物語。
壮大な自然やさまざまな人種や宗教が交わるインドの描き方も素晴らしいが、大国同士の思惑や人々の欲などがドロドロと描かれるなか、心美しいラマとのキムとの師弟愛の物語が際立つ。
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読みやすくて物語に入り込めた。壮大な大地で繰り広げられる冒険が終わった。宗教・人種・身分、登場人物がなんとも多様な世界観が一つの物語になって進んでいくのは見事。いつの日かインドに行き、自分の足でキムとラマの歩いた道を少しだけでも歩いてみたくなる。インドがイギリスの植民地だった時代背景で物語が冷遇されることがないように願いたい。この時代を生きた作者にしか書けない物語があるし、それを味わいたいとも思うし。
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キムは学校の休暇の際にスパイとして必要となる技術を学び、仲間の何人かとも顔を合わせる。3年間で学業を終了し、ラマと再び矢の川を探す旅に出る。ラマが故郷の高地の話をたびたび持ち出すので、キムは高地への旅を提案する。元気のなかったラマが高地ではキムよりも早く歩くのが面白かった。実は高地へ向かったのはスパイ活動のためでもあった。旅の途中で初めて会った仲間を助けたキムの評価は高く、それを聞いたハリィが高地に一緒に行って欲しいと頼み込んできたのだ。やがて、ラマを巻き込む事件が起こり、キムもラマもフラフラで高地を後にする。
キムの自分は何者なのか、という問いは世界中の人々の悩みだろうと思う。キムは周りの人に恵まれているが、それを自覚できるほどに成長する。若い人に読んで欲しい。旅好きの人にも。
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歴史的背景もあるし、難解そうないいまわしもあるし
児童書ではないかもね
キムは、すっかり大人になっちゃうし
心の動きが複雑なインド版スパイ小説でしょう!
危険を乗り越えるところは、読んでいて楽しいところかも
ラマとキムの師弟関係が筋が通っていてよかったです
著者プロフィール
英国の小説家、詩人。大英帝国統治下のインド・ボンベイに生まれる。5歳からイギリスで学び、その後、インド・ラホール(現在のパキスタン)で新聞記者として働いたのち、世界を広く旅する。代表作に、『人生の悪条件』、『ジャングル・ブック』など精力的に作品を発表。1907年に英語圏初、史上最年少でノーベル文学賞を受賞。
「2021年 『キプリング童話集』 で使われていた紹介文から引用しています。」
ラドヤード・キプリングの作品
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