イップとヤネケ

  • 岩波書店
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001155730

感想・レビュー・書評

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  •  図書館に立ち寄った際、偶然に目に入ったこの本。表紙の雰囲気から、これ絶対良い本だ!とぴんっ!ときました。読んでみたら、想像したより遥かに素敵な本。私が知らなかっただけかもしれないけど、なんでこれだけの本が日本でそれほど読まれてないのか不思議で、今すぐお子さんがいる全世帯に配りたい位早く子供たちに読んであげたい1冊でした。オランダではどの家庭の本棚にもあるくらいの、人気の児童書らしいです。

    特に好きだったのが、[種まき][初もののイチゴ][動物園][リンゴ][あられ][新しいカレンダー][おたふくかぜ]でした。

    お隣同士の仲良しさん、イップとヤネケの純粋な無鉄砲さが可愛らしくて、微笑ましくて…

    子供は大人が考えつかないようなことを自由に思いついて、天才ですね。

    [リンゴ]より
    庭のりんごの木に実がなって、木に登ってりんごを落として二人で食べる。一人二個ずつならいいよとママに言われて。食べていたら、りんごの中に虫がいた。食べた後、りんごの木のところに行き、その虫を別のりんごの上に乗せてあげた。「よかったね。虫さん、これでまた、続きが食べられるよ。」

    可愛すぎます…

    理想的な子育ての環境って、こんな感じだろうなぁって憧れます。庭があって、木が生い茂り、そこに鳥が巣を作り、お花やイチゴを植えて、いろいろな動物が訪れ、お母さんが家にいて、隣の家に遊ぶ子がいて、自由に行き来して、たくさんいたずらや失敗をして怒られて学び、買った犬や猫ではなく、迷い犬や近所からもらった子猫を飼い、お世話したり一緒に遊んだり…きっと誰しも、こんな理想の風景に憧れるだろうに、どうして現代は、こんなにも反対の方向へ行ってしまうのでしょう。

    それにしても、この暴れん坊のお2人さんのお母さんはとても大変そう。そして、読者もかわいい2人から目が離せません。

  • か、かわいすぎる。おとなりさんのイップとヤネケ。となりの家に同い年の子が引っ越してきてお互い行き来しつつ毎日庭で遊んで過ごす。何て素敵な環境なんでしょう。ふたりでなら日常のどんな些細なことも冒険になるしファンタジーになる。世界はどこまでも広がるしいつまでも一緒に遊んでいられる。それを温かく見守る大人の目線があるからこそかもしれない。そして何って影絵。真っ黒だけどふたりにピッタリだしとてもかわいい。国民的キャラクターですって。洒落てる。

  •  隣どうしの家に住む男の子と女の子、イップとヤネケの日常を描いた42のお話。お花の種を植えたり、お人形でごっこ遊びをしたり、動物と触れ合ったり、水たまりに入ったり、ときにはけんかしたり…と、幼い2人の子供たちが過ごすささやかな時間を丁寧に描いている。

     だから、イップとヤネケはどこにでもいる子供のように思えるし、読み手は自分や自分の子供を2人に重ね合わせながら物語の世界を味わうことができる。素敵な影絵の挿絵は、そんなお話にぴったりだと思った。どうしたら、子どもの気持ちや姿をこんなに的確に捉えて、こんなに生き生きと描き出すことができるんだろう。作家も画家もすごい…!

     特に好きなお話は、「アイスがいっぱい」と「動物園」だった。「アイスがいっぱい」は、イップとヤネケが、互いの両親に頼んで、アイスを4つも買うお話。アイスクリーム屋さんが近所の通りにやってきたベルの音を聞きつけたイップがヤネケを誘い、ママに「アイス、買っていい?」とねだる。アイスを食べ終わったところへ通りかかったパパに「アイス、食べるかい?」ときかれた2人は、「食べたーい!」と答える。そんなふうにして、2人は15分の間にアイスを4つも食べ、もちろん夕食が食べられなくなる。二人の子供らしいずるがしこさに、胸をくすぐられた。「動物園」では、「パパ、シマウマのシマ、いつも、だれがかいてるの?」ときくヤネケがとても可愛かった。子供って本当におもしろい。

     息子が3歳半〜4歳になったら、読み聞かせてあげたい。彼も、イップとヤネケみたいな関係の友達をもって、彼らみたいに、体をいっぱい使って、心もいっぱい開いて、のびのび遊んでほしいなと心から思った。自分は、そんな彼を優しく見守っているイップとヤネケの父親みたいになりたいなと思った。

  • オランダの国民的な児童書です。
    隣同士に住む男の子と女の子、イップとヤネケの日常が全部で42編、収められています。

    仲良しで毎日一緒に遊び、たまにケンカして。
    わきあがる好奇心ではちきれんばかりのイップとヤネケがとってもキュート。
    そして、イップとヤネケのパパとママがまたすてきなのです。

    原作は約240話もあるのだそう。
    もっともっと読みたい、と思いました。
    影絵のような挿絵がとてもかわいいのです。
    文章と挿絵がぴったり。
    ほっこり、まあるい、やさしい気分になれる本。

  • イラストもお話も、とっても可愛らしい、オランダの児童書。

  • ことり文庫にて教えてもらった本。最初に娘に見せたときは、「こんな真っ黒に白い目の絵の本嫌だ」と言って大騒ぎ。嫌々顔で聞くこと3日あまり…。普通に聞くようになり、そして最後には「もっと読みたい!」の声。嬉しいねえ。1章が短くて、ほかの本と合わせて読みやすかった。1章が短い分、読み終わるまで長かったけれど、最初、拒否していた娘にとっては、イップとヤネケと仲良くなるために必要な時間だったように思う。すっかり生活の一部になってしまって、明日から、この本なしに1日を終われるか軽く不安。

  • オランダ

  • こんな環境で子供が育てればね~

  • 「オランダの家庭で、この本のない子ども部屋はない」とまで言われてる(訳者あとがき、より)本。
    とてもかわいらしい短いお話集です。
    お隣さん同士の男の子・イップと女の子・ヤネケのやりとり、ふたりの遊び、セリフが、なんとも微笑ましくて、読んでると、にこにこしちゃいます。
    ふたりのおかあさん&おとうさんも、子どもたちにゆったり向き合ってて、いいなぁ。
    挿絵も、おしゃれでかわいいんです。
    影絵で描かれたイップとヤネケ、お人形のヤンス、犬のタッキー、猫のシーピー、ハリネズミ。

    どのお話もよかったのですが、なかでも、
    「庭のハリネズミ」
    「アイスがいっぱい」
    「たこあげ」
    「庭の落ち葉」
    「用水路に落ちたタッキー」
    が好きです。

  • そういえばこの本を数年前に読もうと思ってて当時は思っただけで、すっかり忘れてました。オランダ関連の本を調べててこの本にヒットして、まさに私にとっては今が読むタイミングだったのでしょう。納得。

    オランダでは知らない人がいない国民的キャラクター。特別なことなんて起こらない、でもほんわか幸せな日々。日本で言えばサザエさん的存在かな。

    イップもヤネケもとってもキュート。二人のパパとママもステキ。ちょっとしたユーモアも私のツボだし、もちろん絵もかわいい。原作は240篇ほどあるらしいので他のお話も是非読んでみたいです。

    そして二人のグッズを見にHEMA(オランダの雑貨屋さん)に行くのがますます楽しみになってきた!!

  • オランダで語り継がれる児童書の名作。とにかくイラストもすてきで、イップとヤヌケがかわいい。この影絵と文の組み合わせがとてもいい。

  • とても素敵なお話と絵。

    こういう絵が一番、好きなんです。

  •  私はポストカードを集めていて、その中に文房具屋さんで見つけた黒いシルエットで描かれた男の子と女の子のポストカードがありました。とてもかわいらしいこの絵、『イップとヤネケ』というオランダの児童書に描かれた挿絵だったんです。
     イップとヤネケはお隣同士。ある日女の子ヤネケが男の子イップのお隣に越してきてふたりは友達になります。そしてふたりは一緒に遊びます。動物に会います、りんごを拾います、アイスクリームを食べます、冬が来ます。書かれているお話はとても身近なことばかり。特別な事件も危険な冒険もありません。ここはありのままの小さな子供の世界です。
     時々児童文学を読んでいて“はっ”とすることがあるのですが、何でこんなに子供の気持ちや考え方を的確に切り取れるんだろう?と思わせる作家に出逢うことがあります。著者のシュミットさんもまさにそんな作家といえるでしょう。特に事件の起きない子供の世界の中にいるこのふたりの小さな子、イップとヤネケには日常の一つ一つがとても生き生きしていているのです。客観的な表現で書かれていますが、淡々とした中にとてもあたたかく見まもっているような優しい雰囲気があって、思わずほほえんでしまいたくなります。
    『イップとヤネケ』は原書から選んだ42点の短編集だそうです。原書にはもっとたくさんの短編があるようなので、そちらも翻訳され刊行されることを期待しています。
     最初に挿絵のことから書きましたが、子供の頃に印象に残っているお話には、印象に残る挿絵が付いていたりするものです。『イップとヤネケ』の挿絵はまさに印象的。一つ一つのお話も短めなので、夜寝る前に挿絵を見せながら、お子さんに読んであげるなんて素敵じゃあないでしょうか?

  • オランダのお話。まず装丁がかわいい…!このタイトルの書体がなんてかわいいんだろう!冬野さほをもしご存知でしたら、漫画をそのまま文字にした感じ。子供の見た世界を感じられ、全てがほほえましいです。ハリネズミが庭に遊びにきたり、羊にもこもこちゃんと名づけたり、なんて素敵なんだろう!!新聞で連載していたようで、この本にまとめてあるのはほんの一部なのだそう。もっと他にも読んでみたいです。

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