名探偵カッレ 地主館の罠〈リンドグレーン・コレクション〉

  • 岩波書店
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001157383

作品紹介・あらすじ

夏休みがやってきた! 川遊びにアイスクリームに、赤バラ軍との攻防戦。最高に楽しいけれどものどかな毎日に、カッレはどこか物足りなさを感じていた。エヴァロッタがいつもの遊び場で殺人事件に出会うまでは・・・・・・。子どもたちの友情と冒険と機知を生き生きと描いた「名探偵カッレ」シリーズ第2作が、新訳・新挿画で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 名探偵カッレの2巻。薔薇戦争真っ最中でも、事件や不幸があれば即座に停戦して協力し合う赤バラ白バラ両陣営がすばらしい。
    前回の事件から一年たって、カッレが少し成長してる気がする。危ないことには近寄らないようにしてるし、警察のことも信頼してる。
    それでも、いざとなれば白バラの騎士として3人とも勇敢に戦えるんだから、カッコいい!
    カッレの住んでる町が夏場に簡単に住居侵入できるあたり、住民のおおらかさが伺える。リンドグレーンの子どもたちへの愛情が伝わる本。

  • あー、これまたあらためてすばらしい。子どものころさんざん読んであこがれたけど、今回は大人目線で。

    事件は、1巻の宝石泥棒から殺人へと深刻さを増し、3人の直面する危機もさらに大きくなる。
    そして、前回は現行犯逮捕だったのが、今回は、容疑者として逮捕→否認→動かぬ証拠を突きつけられて自白、というステップを踏んでおり、そのすべての過程にカッレたち(+赤バラ軍の友達)ががっつりからんでいる。聖像さまも。

    カッレたちが全身全霊で遊び、その遊びが事件を解く鍵につながる。これがおもしろくないわけがありましょうか。しかも今回は、敵方の赤バラ軍とも協力しあっているところがいいんだよね。シックステンの愛犬ベッポをみんなで探しにいくところとかも、ほろっとさせる。(ただし、ヒ素以前に犬にチョコレートはそもそもあかん)

    あと、カッレたちもシックステンたちも、家は金持だったり貧乏だったりいろいろ。たとえば赤バラ軍ベンカの父さんは医者だし、ヨンテは貧しい人たちの多い〈おんぼろ丘〉に住んでいる。カッレの盟友アンデッシュのうちは父親が横暴で、アンデッシュはしょっちゅうなぐられている。そんな背景もさらりと描きつつ、でも子どもたちがまったく気にせず同等に遊びくるってるのがすごくいい(笑)

    平澤朋子さんの挿絵は、とにかくかわいい。エヴァロッタの愛らしさときたら(でも賢そうだし、強そう)。ちゃんと服も着かえるしね。あと、カッレはいつもぴったりサイズのこざっぱりした服を着ているけど、アンデッシュはお下がりか、または大きくなっても着られるだぶだぶの服を与えられて、袖口やズボンの裾を折りあげてるのもリアル。そういう細かい描き込みで、リアリティが増してるんだろうな。

  • 前回は、どこか気の優しい泥棒たちに城跡に閉じ込められる程度で済みましたけどね、
    いやぁ、今回はおだやかでないわあー!びっくりしちゃいました。

    白バラ団と赤バラ団は、長い長い夏休み、聖像をかけたバラ戦争とプレーリーを駆け回ることに費やしていたっていうのに…

    それにしても、エヴァロッタ、カッレったらいつも本当に素敵ね〜
    二人がシックステンによって地主館の小部屋に閉じ込められた時も、見事な探偵の仕事っぷりだったわよねー。
    それから、白バラ団の身につけた、山賊言葉も最高だった!

    まさかあなたがあんな事件に巻き込まれるとは思わなかったけど…

    おだやかでない事件はあれど、白バラ団と赤バラ団は、何よりも素晴らしい友情で結ばれているし、心が本当に美しい子どもたち。
    エヴァロッタが傷ついていることも、シックステンの大切な犬、ベッポがいなくなった時も、みんな心から心配して何かしてあげようとする。
    そういう子どもたちの素直な心を描いてくれるのが、リンドグレンなんですね

  • 最高に面白い本だった!
    子どもたちみんなが、こんな子ども時代を送れたらいいのにな!
    バラ戦争で口汚く言い合いながら、友情で固く結ばれている。
    自分たちの掟(石ころを「聖像」ということにしたり、戦争中でも夕飯には遅れないように家に帰ったり、、)を持っていたり、山賊ことばを使ったり。そして、夏休みを有意義に過ごすために遊びつくす!
    そんな子どもたちの楽しい日々が、殺人事件と絡んでいく。その絡み具合が絶妙で、カッレくんの推理&化学実験と双璧をなしている。
    リンドグレーン天才だな!

  • 名探偵カッレシリーズ第二弾。
    去年の夏、カッレは名探偵として活躍した。今年も何か起こらないかと思っても平和な町には何も起こりそうもない。
    仲間たちとバラ戦争に明け暮れる夏休みを過ごしていたが、なんと町で殺人事件が起こり、仲間との遊びをする中で犯人に迫る。
    またもやカッレが活躍!

    楽しくもハラハラする探偵物語で夏休みに思いを馳せながら読むのにピッタリ。

  • 「夏休みがやってきた! 川遊びにアイスクリームに、赤バラ軍との攻防戦。最高に楽しいけれどものどかな毎日に、カッレはどこか物足りなさを感じていた。エヴァロッタがいつもの遊び場で殺人事件に出会うまでは・・・・・・。子どもたちの友情と冒険と機知を生き生きと描いた「名探偵カッレ」シリーズ第2作が、新訳・新挿画で登場。」

  • ピッピ大好き!やかまし村住みたい!という子どもだったが、カッレ君はあまり記憶がなく、新訳か、読んでおくかと手に取ったら、ちょっとなにこれ、めっちゃおもしろい。さすがにこれが愛読書になっていないのはあり得ないので、まさかの未履修か。ヘンリーくんとかと混じったかな?ああ、小学生のわたしに教えてあげたい。今回はなんと恐ろしい殺人事件発生。知恵と勇気できりぬけるカッレたち。夢中になって読んだに違いない。
    「城跡の謎」より、犯人が恐くて、その影の分、この巻のがおもしろかった。そして、対するエヴァロッタの光の強さよ!

    また、これは大人の感想なのだろうけれど、健やかな子どもたちがまぶしくて、もうきらっきらで、この世の子どもたちすべてを愛したくなる。時折はさまれる町の大人たちの目線や、地の文にあふれんばかりの愛を感じる。リンドグレーンの筆、冴え渡ってるなと思う。
    そして、平澤朋子さんの挿絵がとても、とても良いですね。

  • 新訳とのこと。挿絵、装丁含めとても良い。

  • 今年読了1冊目がこれでした。
    あああああああああああリンドグレーンって面白い。
    この面白さを今の子どもたちに伝えられる、素敵な改訳です!
    (感想はカッレくんの冒険に書きました。)

  • どうも邦題がしっくりこない。

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著者プロフィール

1907年‐2002年。スウェーデンに生まれる。1944年『ブリット‐マリはただいま幸せ』(徳間書店)で、出版社主催の少女小説コンテストの二等賞を得て、デビュー。以後、児童書の編集者として働きながら数多くの作品を発表しつづけた。1958年には国際アンデルセン賞を受賞。「長くつ下のピッピ」「やかまし村の子どもたち」「名探偵カッレくん」のシリーズや、『ミオよ わたしのミオ』(岩波書店)など、世界中で今も愛されている数々の物語を生み出し、「子どもの本の女王」と呼ばれた。

「2018年 『長くつ下のピッピの本 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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