モノクロの街の夜明けに

  • 岩波書店
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本棚登録 : 71
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784001160482

作品紹介・あらすじ

1989年、ルーマニア。独裁が続くこの街で、高校生のクリスティアンは密告者になった。自由を夢見る17歳は、東欧諸国の民主化を伝える海外ラジオに耳をすませ、任務を逆手にとって、世界に真実を知らせようとする――抑圧された人々の祈りが、ついに国を動かすとき。革命の希望と痛みを描く、渾身の歴史フィクション。

感想・レビュー・書評

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  • I MUST BETRAY YOU | Kirkus Reviews
    https://www.kirkusreviews.com/book-reviews/ruta-sepetys/i-must-betray-you/

    Ruta Sepetys | Seeker of Lost Stories
    https://rutasepetys.com/

    森泉岳土|美術手帖
    https://bijutsutecho.com/artists/2134

    モノクロの街の夜明けに - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/book/b631506.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ベスト『モノクロの街の夜明けに』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/x6aZgwK
      ベスト『モノクロの街の夜明けに』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/x6aZgwK
      2023/11/09
  • 社会主義・全体主義政権のもとで抑圧されていた、革命前夜のルーマニアを舞台とした小説です。

    それまで「嘘」だと信じていた西側諸国の豊かな生活が本当に存在することや、ベルリンの壁崩壊を中心に周囲の社会主義国家が続々と自由化してゆくことを知り、自分たちだけが取り残されていることに言いようのない不安を感じます。
    また、密告が横行する社会の中で、友人・恋人はもとより家族のことさえも信じられない状況や、「周囲の目・耳があるために事情を離せない」ことで生じた誤解によるすれ違いや仲違いは見ていて辛くなります。
    たしかにこの作品は「フィクション」ですが、当時のルーマニアでは本当にあった生活がリアルに描かれているのだと思います。そういった意味で、これまで知られていなかった歴史を明らかにし、またルーマニアという国や社会主義という制度に関心を持たせるきっかけとなる作品だと思います。

    決して読んでいて「楽しい」物語ではありませんが、読みながら現在の日本のように好き勝手に発言することができる(そうして流れてゆく情報が正確かどうかはまた別問題ですが)という環境のありがたさも感じます。
    日本は社会主義国家だったことはありませんが、太平洋戦争中には「特高」がいて思想・言論の自由は制限されていました。そのような状況を変えようと決意して立ち上がった本作の主人公たちを尊敬しますし、自由に考えたり発言したりすることができることが「当たり前」にあることのありがたさを考え、この環境が変わってしまうことがないように気をつけないといけない、と感じます。

  • 1989年チャウチェスク政権下のルーマニア、高校生のクリスティアンは祖父の薬と引き換えに密告者となる。母が仕事で掃除をしに行くアメリカ大使の個人宅ヘ行き、同年代の大使の息子や大使の様子などを探る。
    好きな女の子、こっそり聞く西側のラジオ、厳しい生活の中ルーマニアは市民による革命の日へと向かっていく。

    当時のルーマニアの諜報機関や市民生活などを細かく調べて米国人の著者が書いたフィクション。ちょっとしんどかった。

  • チャウシェスク独裁政治に苦しむルーマニアで17歳の若者が見つめた国への希望....政府に反抗する者を徹底的に押さえつける家族でさえ信ずることができない密告制度は人々の疑心暗鬼に落としい入れ息苦しい日々。この若者クリスティアンには白血病に苦しむ祖父がいることで救われていた。東欧諸国が次々と体制を変えていく中ルーマニアでは絶望的と思われていたが、ティミショアラという地方都市で牧師に対する迫害に反対して民衆が立ち上がったうねりが首都ブカレストに波及して体制は変わった。しかし人々を苦しめた旧体制で力を持っていた人々は生き残った。第二次世界大戦後の日本も同じ状況だった。体制側にいたということは機を見る事に長けている?

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